栄養たっぷりで、身近な存在の牛乳。日本では国産100%で、スーパーやコンビニでいつでも簡単に手に入るイメージがあります。しかし、さまざまな事情により、もしかしたら牛乳を飲めるのは当たり前ではなくなるかもしれません。

今回は、ESSEレポーター一家が酪農の仕事を実際に体験。さらに、酪農家の現状と現在の牛乳事情について徹底レポートします。

生き物相手の仕事だから、酪農家は朝から晩まで365日大忙し!!

子どもたちも牛乳が好きで、毎日飲んでいるという長崎さん一家。おいしい牛乳は、この先もずっと手頃な価格で飲めると思っているそう。そんな一家が、環境に優しい酪農を目指している新潟県の「フジタファーム」で、実際の仕事の様子を体験してみました!

中央酪農

当たり前のように飲める国産のおいしい牛乳。でも、その原料となる生乳(牛から搾ったままのお乳)がどうやって生産されているかを、多くの人は知りません。

新潟県の「フジタファーム」の牧場主・藤田毅さんが教えてくれました。

「高品質な生乳を生産するため、牛たちにできるだけストレスをかけないように飼育しています。さらに牛のフンや尿をたい肥にして、飼料米や飼料用トウモロコシを栽培。それを乳牛のエサにする…という循環型農業を実践して、環境にやさしい農業を目指しています」

牛を相手に仕事をしている酪農家は365日、朝早くから夜まで大忙し。牧場には、大人の乳牛はもちろん、哺乳しなければいけない子牛もいっぱいいます。フジタファームでは100頭近くの牛のお世話を、4人で行っているそう。

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「子牛が大人になるには約2年かかります。さらに、そこから出産して生乳が搾れるようになるまで約10か月。ですから、生乳がたりなくなったからと、すぐに生産量を増やすことはできません」(藤田毅さん)

そんな苦労話に、長崎ファミリーも「なるほど」とうなずきます。

実際に体験してみてわかる、酪農家の仕事の重労働さ&きめ細やかさ

長崎さん一家が、酪農家のお仕事を体験。実際に体験してみたからこそわかることがたくさんありました。

●搾乳

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フジタファームでは毎日朝の5時と夕方の5時から搾乳を実施。

「乳頭をキレイにふいてから搾乳し、搾乳が終わったら、乳頭がきちんと閉じて落ちつくまでは乳牛を地面に座らせないように常に気を使っています」(藤田さん)

●牛舎の掃除、エサやり

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牛舎の掃除は、牛がいなくなる搾乳中などに実施しています。

「フンは量が多くて重いので、道具を動かすだけでも力がいりますね」と長崎パパ。

エサは牧草に加えて、自家産の飼料米や飼料用トウモロコシなどを与えています。

この飼料米や飼料用トウモロコシを育てるためのたい肥は、牛のフンや尿に水分調整のためのもみがらなどを加えてつくります。さらに、トラクターで定期的にかき混ぜて発酵が進めば、たい肥のでき上がり。

仕事はまだまだあります。エサ寄せと呼ばれる、牛がエサを食べやすいように、大きなスコップでこまめにエサを寄せる作業も。

●ブラシがけ、おがくず敷き

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おがくず敷きは、おがくずを広い牛舎に敷いていく、骨の折れる作業。「このおがくずは、再び取り除いてたい肥づくりに使う」と聞いた長崎ママは「すごい!」と仰天。

牛へのブラシがけには、子どもたちが喜んでトライ。

「触るとしっとりしていて温かいね」と、初めて触る牛に興味津々でした。

●子牛の世話・哺乳

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哺乳が必要な子牛たちも、大切に育てられています。ミルクは子牛が育つための大事な栄養源。哺乳ビンにぐいぐいと吸いつく元気のよい子牛に子どもたちはビックリ! でも、パパと一緒にしっかり哺乳しました。

体験が終わるとヘトヘトになってしまうくらい重労働な酪農の仕事。働き者のパパも「牛舎の掃除やたい肥づくりは思った以上に重労働。しかも、休む間もないほど数多くの仕事があります」と驚きの声。

これにママも賛同。

「一頭一頭の体調をチェックし、病気になったら昼夜問わずに看病するなど、子育てと同じ面もあると感じました。品質管理のために、牛の体調や生活環境に対して、とても気を使っていることがわかり、毎日飲む牛乳一杯に、とんでもない手間や時間がかかっているのを実感しました」

消費量が増えている牛乳や乳製品。一方で酪農家は減少

酪農体験を終えた長崎さんファミリー。おいしい牛乳や牛乳を使ったスイーツを食べながら、藤田毅さんとその息子さんで一緒に酪農を行っている光二さんに酪農家の現状と、現在の牛乳事情について聞きました。

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「私の牧場では100頭近くの牛を4人で世話していますが、これは多い方。多くの酪農家が、2人くらいで60頭程度を飼っているのが実情です」と、光二さん。

「後継者がいなくて廃業する酪農家が年々増えているのが残念です。簡単な仕事ではないうえ、生産コストが高くなっているのが大きいですね。ありがたいことに、消費量は増えているのに…」と酪農家の人手不足、後継者不足問題について教えてくれます。

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長崎ママは、「牛乳は国産のものがいつでも買えることが当たり前だと思っていました。でも、現場のことを知ると、牛乳の販売価格は安いと感じます」と真剣な顔。今現在の牛乳が手軽に買える環境が、じつは多くの酪農家の絶え間ない仕事の結果だったということに気がついたそう。

これからも国産のおいしい牛乳を飲んでもらうために、「消費者は適正な価格で買い、酪農家は一生懸命生乳の安定供給に努めるという好循環」が生まれるよう、毅さんは期待をかけています。

おいしくて安全・安心な牛乳を届けるための努力

このようにして酪農家の人たちが精魂込めて生産してくれている生乳。栄養豊富な半面、傷みやすいので、運んだり売ったりするのが難しい農産物でもあります。

安全・安心な牛乳・乳製品を食卓へと届けるため、原料となる生乳の品質と鮮度を保つ。そのために、酪農家をはじめとした多くの関係者の努力があります。

●安全・安心な牛乳・乳製品が食卓に届くまで

1)牧場での努力

搾乳時は牛の乳頭をキレイにふき、乾燥させてから搾乳機で搾ります。鮮度を保つため、搾乳したあとは外気に触れることなく、生乳はバルククーラー(生乳冷却装置)で一時保管されます。

2)集めるとき・運ぶときも努力

専用のタンクローリーが各牧場を回り、集乳前に生乳の品質を検査。検査をクリアした生乳はクーラーステーション(大型冷蔵貯乳施設)へと運ばれたのち、受入検査をしてから一時冷却保管。その後、乳業メーカーの工場まで運ばれます。

3)乳業工場での努力

乳業メーカーでは、受入検査後に生乳を加熱殺菌。牛乳や乳製品が製造されます。それらは、製品検査をしてから出荷され、小売店へと運ばれます。

4)小売店へ

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検査に合格した安全・安心な牛乳・乳製品だけが、スーパーマーケットや自宅などに届けられ、私たち消費者の手元に届きます。

このように、安全でおいしい牛乳や国産の乳製品は、酪農家はもちろんのこと、たくさんの方の努力により守られているのです。

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【応募規約】
・ご応募は日本国在住者(登録住所が日本国内)の方に限ります
・賞品の換金および権利の譲渡はできません

●問い合わせ先

中央酪農会議 

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