主婦業のかたわらエッセイストとしても活動する若松美穂さんが、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫をつづります。

東日本大震災を機に、実の母と同居を始めた若松さん。家族だからといって、最初からスムーズにいったわけではないと言います。
同居生活で感じたことを執筆していただきました。

料理の前で茶碗を持つ様子
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私と母のドタバタ暮らし~食べてみる・やってみるが必要らしい~

以前も書きましたが、母が宮城県に住んでいた時には、買い物をする機会が少なかったので、さいたまに越してきてから一緒に買い物に行くと、もう大変です。
母は細身ですし、多くは食べられない。それほど料理もしないのに(汗)、「そんな大きなベーコンを買ってどうします?」という、妙なものを買いたがります。お得感なのかしら!?

見たことのないお総菜などにも惹かれるらしく、あれもこれも「買ってみたい! 食べてみたい!」のです。


一応、娘なりに、彼女の好みは知っているつもりなので、「それは味が濃いよ」とか、「宮城で買うカツオと違って、おいしさを感じないと思うけれどいいの?」と情報は伝えるのですが、“買いたい欲”が勝ち、聞く耳はもちません。
挙句、帰って食べたら「これしょっぱい(塩辛い)わね~」「このカツオ、なんの味もしない」といいます。
「ですから、事前にお伝えしたと思いますけれど…」と、初めのうちはややイライラしていたのですが、私も少しずつ学んできました。

私の言うことなんて、彼女の役には立たない。


これはもう、大人も子どもも、よく考えれば私も同じなのかもしれません。人の言うことより、体験して、認識してもらうのがいちばんだと思うようになりました。
それからは「これどう思う?」という母に「いいんじゃない」「買ってみれば?」「私にはわからないな~」と応えます。母は、ふふふと笑い「まぁ試してみなさいってことか」と、迷いつつ決めています。

あるとき、母に伝えました。「どうしたらいい? どう思う? とだれかに聞くのであれば、多少は聞く耳ももたないとね。初めから答えが決まっていることや、自分の決めたとおりにしかしないことは、私に聞かなくていいよ。または、“私はこうしたい・こうするつもりだよ(報告)”でいいんじゃない?」と。

最近おもしろいことが起きています。「ちょっといい?」と私に話しかけたあとで、「あっ、やっぱりいい」と言い、うん、うんと一人でうなずいている母。今度は私の方が、「どうやら決まったらしい」と笑っています。

【若松美穂(わかまつみほ)】

お金をかけずにセンスと工夫でおしゃれに暮らすカリスマ主婦読者として、生活情報誌『ESSE』や『サンキュ!』などで紹介され人気者に。2011年、心理カウンセラーの資格を取得。主婦業のかたわら、エッセイストとしての執筆活動のほか、講演、各メディアへの出演など多方面で活躍。夫と娘2人、母親の5人家族。埼玉県在住。公式サイト「

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