マイホームを購入したとき、その権利関係などを公に明らかにするために登記します。これ以外に、改築やリフォームしたときも「建物表題変更登記」をしなければいけないケースがあること、ご存知でしょうか。日刊住まいライターは、実家を二世帯住宅にリフォームする際に変更登記をはじめて経験。増築で床面積が増えたことと、建物を共有名義にするという2つの登記の変更をしなければならず、戸惑うことも多かったと言います。どんな作業が生じたのか?費用がどのくらいかかったか?詳しくレポートします。
すべての画像を見る(全4枚)実家の二世帯リフォームで増築の登記と共有名義に変更する登記を経験
登記簿には所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積などが記されています。そのためこれらのいずれかに変更点が生じた場合には「建物表題変更登記」をする必要があります。
ちなみに筆者宅は実家を二世帯住宅にするリフォームでしたので、増築登記と、共同名義にするための登記を行いました。
増築登記をしてからでなければ共同名義にするための所有者の登記はできないため、2回に分けて登記を行う必要があり、筆者宅の場合登記代が少し高く、手間も2倍かかりました。
まず、増築の登記ですが、床面積の増減、屋根の種類が変わるなどの大規模な工事をした場合には登記部分を変更する必要があります。
増築をしたとしてもその規模が10㎡未満であれば確認申請は不要(ただし「防火地域」「準防火地域」に指定されている地区では10㎡未満の増築でも確認申請が必要となるそうです)。しかし筆者宅は、今回の増築工事で約20㎡の増築をしているため、登記をし直す必要がありました。
1度目に行った登記は増築部を記載する「建物表題変更登記」
土地家屋調査士への支払い……8万5000円
建物表題変更登記は、変更があったときから1か月以内に行わないといけないとのこと。そのため引っ越しの荷解きと同時進行で取りかかりました。これに関してリフォーム会社はノータッチ。自分たちで司法書士や申請書類をつくってくれる専門家を探すところからしなければなりませんでした。
ちなみに申請自体は自分で行うこともできるそうですが、登記申請書類の作成、必要書類の収集、現地での測量、図面作成などやらなければならないことがたくさんあります。そのため、申請書類作成にあたりその調査書類を土地家屋調査士に一任することにしました。
登記申請書類の作成、測量、図面作成など、土地家屋調査士に支払った金額は一式で8万5000円。
増築での登記の際にこちらで用意した書類は、増築部の建築確認証、建築検査済証、工事完了引渡証明書、固定資産台帳登録事項証明書、固定資産税納税証明書、工事請負契約書および工事代金領収書、委任状です。
増築による「建物表題変更登記」は、申請から数週間程度で完了の連絡がきました。
2度目の登記は建物の所有者を追加変更するための「権利の登記」
税理士への支払い…1万円
税理士には建物の持分割合の計算をしてもらいました。
筆者宅は元々筆者の母の持ち物だったのですが、二世帯住宅にするにあたり、建物を共同名義にすることにしました。ただ、それぞれの持ち分は基本的に勝手に分配決定することはできず、ローンの額に応じて決まることが一般的です。
今回のリフォーム工事では、筆者が暮らすスペースのリフォームローンを夫が組んでいます。そのローンの総額などを考慮したうえで計算してもらったところ、ちょうど夫と母がそれぞれ約50%の持分割合となりました。
ちなみに土地まで共同名義にすると贈与税がかなりかかってしまうということで、所有権は今まで通り筆者の母にあります。あくまでも建物部分のみ、共同名義にしたかたちです。
司法書士への支払い…約13万円
税理士に建物の持ち分を計算してもらったあと、「権利の登記」部分に当たる登記を司法書士にお願いしました。こちらの登記は住宅取得から1か月以内でなくても問題ないとのことでした。
登記簿は大きく分けると表題部と甲区および乙区の3部から構成されています。表題部は土地建物調査士が、ほか2つ司法書士が登記申請を行います。
司法書士への支払いは、一式で13万1955円でした。
そのほか筆者宅で用意した必要書類は、住民票、印鑑証明書、戸籍謄本、固定資産税評価証明書。ちなみにこちらの「権利の登記」は建物表題変更登記のときとは打って変わって、司法書士から申請完了の連絡が入るまで数か月程度かかりました。
法律が絡んでくることなので、登記が終わるまではなかなか落ち着かない気持ちで過ごしていました。今回思ったのは「登記にかかるお金って意外と高いな」ということ。住宅を購入する際には、その後かかる費用のことも念頭においておく必要があると痛感しました。
また、「建物表題変更登記」は土地家屋調査士が、それ以外の部分は司法書士に依頼しなければならないため、測量事務所と司法書士事務所に連絡しなければならないことも手間でした。
家を購入するときだけではなく、実家をリフォームして一緒に暮らすときも、必ず行わなければならない手続き。そのようなときには、参考にしてください。
画像/PIXTA(1、2、3枚目)