家を建てる時点で、インテリアのイメージをある程度固めている人は多いのではないでしょうか?もっとも、そのイメージを具体的に必要な内装材へと落とし込んでいく作業は、なかなか難しいものです。今回編集部では、2つのケースをピックアップ。こだわりの内装材を用いて、理想の家づくりをしたというオーナーを紹介します。壁や床、そして天井などに、どのような材を選んだのか?またそれらの組み合わせにより、どのような効果が生まれるのか?ぜひ、注目してみましょう。
すべての画像を見る(全8枚)Case.1 新婚旅行で宿泊したバンガローに魅せられて、サファリスタイルを再現
Iさん夫妻が家づくりに求めたのは、新婚旅行で泊まったケニアのサファリバンガローを再現すること。あの開放感と居心地のよさを実現すべく、アフリカのエッセンスを家の随所にちりばめました。
圧巻なのは、特大の吹き抜けの下に広がる大らかなLDK。リビングの天井高は8m以上にもなります。壁に描かれたアートはアフリカの民族布をモチーフにしたオリジナルです。階段の手すりは流木を組み合わせたもので、手仕事ならではのいい雰囲気が出ています。
モルタルのような質感のモールテックスを床や階段に用いて、半屋外気分が味わえる仕上げに。壁には自然素材の珪藻土を塗り、勾配天井には竹や木を編んだような網代クロスを貼るなど、自然を感じる素材を厳選。床や壁の仕上げをシンプルにすることで、流木の手すりや間仕切り、壁面のアートが引き立ちます。
古材を多用したキッチン。キッチンや背面カウンターは、独特な質感のモールテックスで仕上げたもの。
吹き抜けに面した2階のファミリールームは、床をオークのフローリングに。吹き抜け側には腰壁代わりに流木を使用。
ダイニングの床もオーク材。左手に見える野性味あふれる流木が、隣り合うリビングとの間仕切りになっています。
※<千葉県 Iさんの家>設計/ネイチャーデコール撮影/漆戸美保
Case.2 やさしい木の温もりに包まれて、家の中でも森林浴気分
子どもの頃から天体観測が好きだった。そんなAさんがたたずむ、吹き抜けのリビングダイニングには、壁に造り付けた棚をはじめ、置き家具も木製で揃えて統一感を持たせています。
ここは、星降る高原に建つセカンドハウスです。「都市のマンション暮らしをしている間は無理なので、仕事を引退したら天体観測のための家をつくりたかった」とAさん。
周辺の環境に溶け込むように、建物は自然の木を使った木造に。板材が張られた外観と同様、内部もほとんどの部屋に木が用いられています。
内装に使われた樹種は、堅くてキズに強いクリを床に、手触りのやさしい杉を壁や天井に。階段、建具も木製で揃え、木の温もりや木目が楽しめる心地よい空間に仕上げています。唯一、和室の壁は珪藻土クロスに。ほかの部屋とは雰囲気を変えつつ、自然素材で揃えています。
星を眺めるための観測台につながる木製階段。室内ドアなどの建具も木製で統一。
天井高を抑えた6畳の和室は、珪藻土クロスが貼られた穏やかな空間。「やっぱり畳は落ち着きます」とAさん。
木の節などの自然な表情が、室内をやさしく彩るリビング。和室とつながる開口部の障子が、板壁のアクセントになっています。
※<長野県 Aさんの家>設計/若原アトリエ 撮影/松井進