住宅取得の負担を減らすために、様々な制度が用意されています。例えば「住宅ロ-ン減税」や「すまい給付金」といったものがそれ。さらに各自治体が独自に用意している助成金も見逃せません。ここでは、そうした制度と助成金の基礎知識を学びましょう。ファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんのアドバイスを交えながら、説明していきます。
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着工前に申請するのがルール。事前に関連各所で確認を「住宅ロ-ン減税」は最大400万円超の税金が戻ってくる制度「すまい給付金」は収入に応じて最大50万円もらえる制度自治体が行う、住まいにまつわる助成金着工前に申請するのがルール。事前に関連各所で確認を
こうした制度を利用するにあたって注意したいことがあります。
「助成金の多くは『着工前に申請手続きを行う』のがル-ルです。つまり、条件に合致していても、手続きをしないまま着工してしまうと、完成後にもらえたはずの助成金をもらいそこねてしまうことも」
痛恨のミスを減らすために、おすすめなのは、住んでいる地区の役所に行き、「どんな助成金がありますか」と尋ねてみることだそう。助成金の種類は、同居・近居に対する支援や省エネ住宅に対するものなど様々。期間限定で展開されているものも多く、役所のホ-ムペ-ジだけでは見つけられないこともあるため、「転ばぬ先の問い合わせ」が重要です。
「住宅ロ-ン減税」は最大400万円超の税金が戻ってくる制度
住宅ロ-ンを借り入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度。これが、「住宅ロ-ン減税」というものです。「毎年末の住宅ロ-ン残高の1%」が10年間と、建物価額の2%を3年で割った金額を上限に3年間延長して住宅ロ-ン控除を受けることができます。床面積の条件が、従来の50㎡から40㎡に緩和されたのも朗報。
ポイント
- 毎年の住宅ロ-ン残高の1%など13年間、所得税から控除
- 所得税で控除しきれない分は住民税からも一部控除
- 住宅ロ-ンの借り入れを行う個人単位で申請
住宅ロ-ン減税の控除額のイメ-ジ (控除期間が10年間の場合)
(出典)国土交通省「住宅ロ-ン減税制度の概要」 ※2022年末までに入居した場合は、住宅ロ-ン控除の適用年数が13年に拡充されている。
「すまい給付金」は収入に応じて最大50万円もらえる制度
消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された制度です。住宅ロ-ン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ロ-ン減税とあわせて消費税率引き上げによる負担の軽減を図るものとして登場しました(住宅ロ-ン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほどその効果が小さくなる)。収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。
ポイント
- 消費税引き上げによる負担を軽減するため現金を給付
- 令和3年12月まで実施
- すまい給付金を受け取るためには、給付申請書を作成し、確認書類を添付して申請することが必要
給付基礎額
※収入額の目安は扶養対象となる家族が1人(専業主婦、16歳以上の子どもなど)の場合をモデルに試算した結果です。
消費税率 10%時 | 収入額の目安 | 450万円以下 | 450万円超 525万円以下 | 525万円超 600万円以下 | 600万円超 675万円以下 | 675万円超 775万円以下 |
給付基礎額 | 50万円 | 40万円 | 30万円 | 20万円 | 10万円 |
自治体が行う、住まいにまつわる助成金
若い世代の応援や移住者支援などを目的として、様々な自治体が、住まいにまつわる支援制度を用意しています。住宅建築補助、定住促進奨励金、あるいはリフォーム支援などがそれ。ここでは、知らないと損する自治体支援制度のほんの一例をご紹介。
自分のお目当てのエリアやその周辺についても、ぜひ調べてみましょう。支援が充実している自治体なら、たとえ第一候補でなかったとしても、いっそう魅力的な生活の場所に見えてくることも。居住先は、自治体の提供するサービスとセットで検討を。
千葉県南房総市「住宅取得奨励金交付制度」
定住促進及び地域経済の活性化を図ることを目的に、市内において新築住宅を建設または購入した子育て世帯及び若年者に対し、奨励金を交付する住宅取得奨励金交付制度を実施しています。助成金額は最大で200万円。
岐阜県岐阜市「まちなか居住支援事業」
岐阜市の中心市街地において、自ら居住する住宅を建設又は取得するために金融機関と住宅ローンを契約した人に対し、建設費又は購入費の一部を助成します。助成金額は最大で80万円。
新潟県新発田市「住宅取得補助金」
市外からの転入者を対象に、一定地域における住宅の建築及び取得費の一部補助を行います。助成金額は最大で80万円。
兵庫県南あわじ市「マイホーム取得事業補助金」
島外から転入する個人が居住を目的として、新築または新築住宅の購入で200万円、空き家バンク利用で中古住宅を購入で100万円助成。さらに中学生以下の子どもがいる場合は、1人につき30万円の助成。
※各自治体の助成金は内容が変更になることがあります。また予算額に達した場合、募集を終了する場合があります
●教えてくれた人/畠中雅子さん
ファイナンシャルプランナ-。連載、講演、セミナ-など幅広く活躍。複数の不動産を所有し、住宅ロ-ンのアドバイスも得意とする
イラスト/カツヤマケイコ