新築やリノベーション時に設けるお宅が増えているパントリー(食品庫)。食品ストックや食器などの収納場所を確保でき、モノがあふれがちなキッチンの強い味方です。ひと口にパントリーといっても、つくりや仕上げは千差万別。自宅のリノベ時にパントリーを新設した日刊住まいライターが、プランニングのときに「迷った部分」を5段階評価で振り返りながら、現在のパントリーの使い心地を紹介します。

キッチンとパントリー
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目次:

パントリーの出入り口には扉をつける?オープンにする?内部の棚板は固定する?可動式にする?冷蔵庫はパントリー内に置く?外に置く?パントリーの床の素材にこだわる?安価な量産品でいい?パントリーは必要不可欠なスペースと実感

パントリーの出入り口には扉をつける?オープンにする?

パントリーの扉を開けたところ

3年前に自宅マンションをリノベーションした筆者。設計士さんからキッチン横にパントリーを設けるプランを提案してもらった日はうれしくて眠れないほどでしたが、すぐにぶち当たったのが「パントリーの出入り口に扉をつけるか・つけないか問題」でした。

リノベ雑誌やリノベ会社のウェブサイトでほかのお宅の様子を見てみると、(あくまで筆者の肌感覚ですが)扉付きと扉なしはおよそ半々という印象。扉がないと出入りがラクそう。でも、外から見たときにごちゃついた印象になりそう…と、とても迷いました。

パントリーの扉を閉めたところ

悩んだ結果、最終的に選択したのは「扉付き」。閉めているときは壁と同化するように、シンプルな白い引き戸を選びました。3年暮らしてみて、扉をつけたのは大正解!引き戸なので開放したままにでき、開け閉めが面倒かも、という心配は杞憂でした。

パントリーの引き戸を少し開けたところ

パントリーの中が多少ごちゃついていても、来客時などは引き戸をサッと閉めるだけですっきり。冷暖房を使う季節は常に引き戸を閉めておき、暖気や冷気がパントリー内に入らないようにしつつ冷暖房効率を高めています。

筆者の自己採点

パントリーの扉:★★★★★

内部の棚板は固定する?可動式にする?

パントリーの内部

パントリーの内部に棚板を設置する場合、固定式にするか可動式にするかも悩ましい問題。筆者は、しまう物に合わせて自由に変更できるようにしたい、という思いから、棚柱と棚板を組み合わせた可動式にしてもらいました。

入居してすぐに、収納するもののサイズをチェックしながら棚板のピッチを設定。でも、よくよく考えると「可動式」でありながら、その後3年間、棚板を動かしたことはただの1度もありません。

パントリー内部の可動式の棚

「固定」してしまうのがなんとなく怖くて、つい「可動式」を選んでしまいましたが、棚板にズラリとモノを配置してしまった後に、棚板のピッチを変更するのはかなり面倒な作業です。

「可動式の棚板は意外と動かさない」というのが3年暮らした筆者の実感。事前にある程度しまうものを想定してつくれば、それほど可動式にこだわらなくてもよかったのかも、と思いました。

筆者の自己採点

可動式の棚板:★★★☆☆

冷蔵庫はパントリー内に置く?外に置く?

パントリーを入ってすぐの場所に冷蔵庫を配置

設計士さんから提案されたプランでは冷蔵庫がパントリー内にあり、ここでも筆者は少し躊躇してしまいました。おしゃれでもなんでもない冷蔵庫をリビングダイニングから丸見えのオープンなキッチンに置かなくてすむのはうれしい反面、調理中に頻繁に行き来するのが負担にならないか少し心配でした。

でも、蓋を開けてみるとそれもムダな心配でした。冷蔵庫の位置はパントリーを入ってすぐの場所で、引き戸は基本、開け放しておくため、冷蔵庫へアクセスするのが面倒ということはまったくナシ!大豪邸でもないわが家の場合、その心配は不要でした(笑)。

表面に思い切りいろいろ貼った冷蔵庫

冷蔵庫がリビングダイニングから死角になったため、冷蔵庫の表面に思い切りいろいろ貼れる、というメリットも感じています。家計簿シート、買い物メモ、家庭菜園の収穫表と、わが家の情報ステーションのような役割を果たしてくれています。

ただ1点、誤算だったのが、エアコン使用中の夏にパントリーの引き戸を閉め切ると、冷蔵庫のモーターの熱でパントリー内が高温になってしまうこと。これは実際に住んでみないと分からないことでした。本来なら常温保存できる食パンも、夏の間は冷蔵庫に避難させることとなりました。

筆者の自己採点

パントリー内の冷蔵庫:★★★★☆

パントリーの床の素材にこだわる?安価な量産品でいい?

フロアタイルで仕上げたパントリーの床

パントリーの床は、磁器タイルで仕上げるとかっこいいのでは?と夢想していた筆者。でも、パントリーとは住まいのバックヤードです。内装にそれほどコストをかけなくてもいいんじゃない?という気持ちに傾き、リーズナブルなフロアタイルを選びました。

狭い空間なので圧迫感が出ないように、明るめのグレーで石材風のものに。水に強く掃除もしやすい素材で、とても気に入っています。ふだんはほぼ目に入らないスペースなので、こだわりの床材を使っても「宝の持ち腐れ」状態だったかもしれず、パントリー内は安価な床材で全然OK!というのが筆者の実感です。

筆者の自己採点

安価な床材:★★★★★

パントリーは必要不可欠なスペースと実感

パントリー全体

筆者がパントリーのプランニング時に悩んだ部分と、最終的に選択したプランや素材をご紹介しました。予想外だったこともありましたが、事前にいろいろ検討したかいがあり、パントリーはわが家になくてはならないスペースになっています。

新築やリノベーションでパントリーを検討している方に、3年使ってみた筆者の感想が参考になれば幸いです。

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