廊下は単なる通路…。もし、そう考えていたら、もったいないかも。住宅スペースは限られています。だからこそ、有効に使える家づくりのプランが大切。たとえば、家事をおこなったり、収納を兼ねた趣味のスペースとしても活用できたりすれば、暮らしはぐっと豊かになります。建築家の大島健二さんも「廊下を超えた廊下」を提案するひとり。家づくりのためになる廊下の使い方について教えてくれました。
すべての画像を見る(全5枚)室内物干しスペースとマンガコーナーを設けた例
大島さんが手がけた3階建て住宅では、2つの子ども部屋の間の廊下に、サンルーム的な室内干しのスペースとマンガコーナーやフィギュアを飾る棚を設けました。
階段の吹き抜け上部に物干しポールを渡し、天井にはトップライトを。
こんなプランニングなら洗濯ものを干したり、取り込んだりする際に、子どもの様子にも目が届きますね。
また階段の手摺壁がカウンターの役割も兼ねるので、洗濯ものをたたむのにも役立ちそう。
マンガの定位置を決めたことで、読んだ後は元の位置に戻すという片付け習慣も身につきやすいかもしれません。
2つの子ども部屋に挟まれた廊下の南面にトップライトが設けらてれいます。
広いスペースではありませんが、こんな間取りなら機能的に使えそうです。
ギャラリースペースを兼ねた廊下の使い方
玄関から入ってすぐの場所に飾り棚を設け、ギャラリースペースとして使っている事例です。
イラスト向かって左、庭に面した壁部分をガラス張りにしています。
玄関を開けると見える風景は、まるで1枚の絵のよう。
右手には造作の棚を設けました。ここはお気に入りのものを飾るためのギャラリースペース。
壁に囲まれて暗くなりがちな玄関にも、やさしい自然光を取り入れられる設計プランです。
玄関アプローチを抜けると、目に飛び込んでるのは中庭の緑。ギャラリースペースを通ってリビングに向かう素敵な空間になりました。
これらの事例を見ると、狭くても工夫次第で、廊下が素敵な、しかも使えるスペースになるのが分かります。
廊下を単なる通り道と考えるのではなく、もっと使える場所に変換すれば、毎日の暮らしがもっと豊かになるかもしれません。
監修・イラスト/大島健二(OCM一級建築士事務所)
参考/『家づくり解剖図鑑』(大島健二著、エクスナレッジ刊)