和室を洋室に変更したいけど、リフォーム業者に依頼するとなるとそれなりに費用も…。そう諦めている人は多いのではないでしょうか。手間を惜しまないのなら、DIYでやってみるという手も。一級建築士の夏目あや子さんは、予算10万円、工期5日間で築25年のお宅の和室を洋室にリフォームするDIYのサポート経験があるそう。その模様をレポートしてくれました。和室の一部だけでもDIYしてみたい、という人にもアイデア作りのヒントになりますよ

目次:

「砂壁」「仕上げなしの押入れ」「断熱材なしの床下地」の三重苦砂壁の砂が落ちないよう下塗剤でしっかり固める壁を二度塗りで仕上げ、可動式の棚も設置断熱材を入れながら床の下地をつくる床はペット対応のクッションフロアで明るい洋室に押入れはリメイクシートでおしゃれなディスプレイ棚に

「砂壁」「仕上げなしの押入れ」「断熱材なしの床下地」の三重苦

純和風な8畳の和室
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リフォームするのはこちらの8畳の和室。純和風な趣で、壁は砂壁、畳もかなり傷んでいます。

仕上げをしていない押入れ

押入れの中は昔は仕上げをしないことが普通でしたので、壁は石膏ボードのままでした。

断熱材が入っていない床下

厚い畳をあげると、床板そのまま。床下の断熱材は入っていない状態です。まさに三重苦ともいうべき状況。オーナーさんと相談して、壁・天井の塗装、床下地の施工と仕上げ、押し入れ造作などを一緒にDIYすることにしました。

砂壁の砂が落ちないよう下塗剤でしっかり固める

砂壁の砂が落ちないようにしっかり固めてくれる下塗剤

今回は壁の下地が砂壁ということもあり、シーラーをしっかり塗りこみました。砂壁の砂が落ちないようにしっかり固めてくれる下塗剤です。

上が下塗剤を塗った後、下が未施工の状態

写真上が下塗剤を塗った後、下が未施工の状態です。下地剤が乾いたら、マスキングテープやマスカーで養生(塗りたくないところを隠すこと)して、とにかく塗る、という作業に入ります。

壁を二度塗りで仕上げ、可動式の棚も設置

塗料を二度塗りしているところ

下地塗装が終わったら、塗料を二度塗りします。色はほんの少しクリーム色が入ったホワイトにしました。
枠を先に塗り、ローラーが届きにくいところは刷毛で先に塗ると仕上がりがきれいです。

壁の一部にベニヤを貼り、ブラウンの水性ステインで塗装して棚をつくる

壁の一部にはベニヤを貼り、ブラウンの水性ステインで塗装して棚をつくりました。砂壁だとピンなどを刺せないので、ベニヤ板を棚受けの下地代わりにしました。
ロイヤルというメーカーの、もとは商品陳列用に作られた収納システムを使っています。

チャンネルサポートという棚受けを支える柱を壁に設置し、そこに棚用の金具を使って棚を引っ掛けます。あとから高さを自由に変えられるのでとても便利です。棚板には15㎜厚のラワンランバーコアという板を使いました。

断熱材を入れながら床の下地をつくる

角材を一定間隔にビスで止め、間に断熱材を入れる

同時に床の下地づくりも進行中。角材を一定間隔にビスで止め、間に断熱材を入れていきます。

断熱材と断熱材カッター

断熱材は、ホームセンターでよく見かけるスタイロフォームの30㎜厚を採用。断熱材カッターという専用のカッターで切るのがおすすめです。

断熱材をカットし、調整しながら角材の間にはめ込む

断熱材をカットし、調整しながら角材の間にはめ込んでいきます。

断熱材をはめ込み、ベニヤを上に貼る

断熱材をはめ込んだら、ベニヤを上に貼っていきます。このベニヤの端が角材の上に載るように寸法を測って固定しました。

すべてのベニヤを貼ったら床下地は完成です。すきや穴などがある場合は、パテで埋めると仕上がりがきれいです。

床はペット対応のクッションフロアで明るい洋室に

ペット用対応のクッションフロア

続いて床の仕上げに入ります。犬が2匹いるので、ペット対応のクッションフロアを敷くことにしました。滑りにくく、消臭効果もあるタイプのものです。

ボンドとクシ目ゴテ

一緒にボンドとクシ目ゴテも購入しましょう。ボンドは、3kgのものを2つ使いました。
ボンドの種類や床下地の種類によっても(水分を吸いやすいかどうか)必要な量が違いますので、購入する際に相談してみると良いと思います。

クシ目ゴテで扇を書くようにボンドをのばす

クシ目ゴテで扇を書くようにボンドをのばしたら、オープンタイム(ボンドの粘着力を高めるため置く時間)を取り、なで刷毛で空気を抜きながらクッションフロアを敷き込みます。
いらない部分をカットしたらローラーなどでよくおさえてください。

DIYで明るい洋室に

ご覧の通り明るい洋室に生まれ変わりました!

押入れはリメイクシートでおしゃれなディスプレイ棚に

押入れの中は上段は正面、下段は壁3面にシートを貼りました。裏面がシールタイプのリメイクシートを使うととても簡単。デザインバリエーションも豊富です。

リメイクシートを貼った押入れ

オーナーさんの要望でレンガ柄とランダムカラーの木目柄を使いました。

押し入れの中段をつや消しニスを3度塗り仕上げ

モノを置く押し入れの中段には、つや消しニスを3度塗りして仕上げました。棚受けは、木軸(壁の後ろにある下地と呼ばれる角材)に合わせて留めています。

この木軸がほとんどない場合や欲しい場所にない場合は、ベニヤを全面に貼れば好きな場所に棚をつくることができます。

渋い押し入れが、わんこのおうちとディスプレイ棚に

渋い押し入れだった場所が、わんこのおうちとディスプレイ棚になりました!

延長コードを天井にビス止めして、ジャーライトを飾る

延長コードを天井にビス止めして、ジャーライトを飾りました。雑貨好きなオーナーさんがここに作ったものを並べるそうです。

手間と時間はかかりますが、予算10万円でここまでできます。使いにくい和室に悩んでいる方の参考になれば幸いです。