宮城県仙台市に住むKさん。新居の建築にあたり、設計者のGinga Architects・武田幸司さんに伝えたのは「敷地の特徴を生かした建物にしてほしい」ということ。そこで武田さんは、眺望を最大限に取り入れたLDKのある家をプランニングしたのですが、その形がなんともユニークなのです。

眺望を最大限に取り入れたLDK
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生活空間がハの字型に開いている?

生活空間がハの字型に開いている?

擁壁上の家

K邸があるのは、東日本大震災後に構造計算してつくられたという擁壁の上。建物は基礎が擁壁に干渉しないように、敷地の形に沿ってつくられています。

ギャラリーのようなダイニング、リビング

周囲からはせり上がった位置にあるため、LDKは素晴らしい眺望が楽しめるよう、11mもの大開口に対してハの字型に開く形に。そして床は開口部に向かってステップダウンしています。

三角形の床面は下からダイニング、リビングという順で展開していて、頂上は書斎。窓際のモルタル床がダイニング、その上のフローリング部がリビングになっています。

まるで現代美術のギャラリーのような空間には、周到な収納計画によって必要最小限のものだけが置かれています。Kさんのお気に入りは、リビングとか。「ここでは本を読んだり音楽を聴いたりと、おだやかな時間を過ごせるんです」。

ここまで大胆に外部空間と関係する設計は、かなり度胸がいるような気がします。しかし綿密な構造計算を経て建てられた建物であれば、安心とまたとない眺望が手に入れられるという好例です。

設計/Ginga Architects
画像提供/Ginga Architects

※情報は「住まいの設計2019年10月号」掲載時のものです。