東京・杉並区で上下階が完全に分かれた二世帯住宅の2階に暮らすTさん夫妻。子育てや家事がしやすい開放的な住まいにリノベーションしたいと、友人宅のリノベを手掛けた大塚聡アトリエ 一級建築士事務所に相談。工事費350万円(設計料・消費税含まず)で、2LDKの間取りは変更せずに、壁をスケルトンにしてのびやかな空間を実現しました。
すべての画像を見る(全16枚)壁をスケルトンにして広さと開放感を演出
築25年になるこの家は、夫の両親が建てた完全分離型の二世帯住宅。
Tさん夫妻は結婚後しばらくここで暮らしていましたが、転勤で引っ越すことになり、10年ほど賃貸に出していました。以前は夫婦ふたりでしたが、今は長男との3人暮らし。再び戻ってくるタイミングで、リノベーションを決意しました。
T邸で大きく変わったのは、LDK とその隣の和室。2つの空間に分けていた壁を骨組みだけ残してスケルトンにし、一体感のある開放的な空間を実現。「開放感と木質感が気に入っています。少しずつ手を加えて、より自分たちらしい空間に仕上げていきたいです」(妻)
手持ちのアンティーク家具を生かす
LDKの中心には、もともと持っていたアンティークの食器棚を上下に分けて背中合わせに置き、天板には脚を切った大きなテーブルを載せました。キッチンの作業台兼収納として活躍しています。
既存の窓の内側に設置したアイアンの格子もアンティークな雰囲気にマッチ。玄関とLDKとを仕切っていた壁と扉をなくしたことで北側の窓も見えるようになり、風の抜けもよくなりました。
キッチンはシンプルでスタイリッシュなIKEA のキッチンを採用。吊戸棚をなくした代わりにシンプルな棚を設置し、モザイクタイルで明るい雰囲気に。
玄関はLDK と一体化したことで、コンパクトながら開放的な空間に。スリットの入った玄関扉を新たに製作し、独特の艶があるガラス建材の壁は既存のまま使用しています。
夜空のような神秘的な天井が出現
ミラーガラスを使用した既存の折り上げ天井は、上部を黒くしてシーリングライトを設置。ライトがガラスに映り込み、宇宙のような不思議な奥行き感が生まれました。
リビングと和室は、骨組みを残した壁で緩やかに仕切られつつ、つながりが感じられます。この裏は押し入れだった部分を利用したワークスペース。
和室の壁面はIKEAのベッドヘッドとベンチを組み合わせておもちゃの収納スペースに。
子ども室となっている和室の一角に設けられた妻のワークスペース。「キッチンへもすぐ行けるし、いろんなところに目が届いて便利。こもり感もあって落ち着きます。ラーチ合板の壁も気に入っています」(妻)
廊下には木目調のフロアタイルを使用して、コストを抑えつつ気分を一新。
既存を生かしつつ、使いやすくプチリノベ
洗面化粧台は、カウンターはそのまま使用し、下部の扉をはずしてオープンに。ものの出し入れがしやすく、通気性もよくなりました。
洗濯機置き場は、上部に棚を設置して収納量をアップ。扉のないオープンな棚にすることで、明るさも確保。
既存の白いタイルを生かし、上部の壁に鮮やかなブルーのクロスを貼りました。コーナーも小物を使っておしゃれに演出。白とブルーの壁のコントラストが美しい、明るい空間になりました。
設計/大塚聡アトリエ 一級建築士事務所 撮影/飯貝拓司 ※情報は「住まいの設計2018.01.02月号」掲載時のものです。