「住まいの設計2019年10月号」では、家好き芸人、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する連載「アンガールズ・田中が行く!建築家の自邸探訪」が掲載されています。アンガールズ・田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそうです。今回は古都・鎌倉の風情と豊かな自然を堪能する石井秀樹さんのお宅を訪問しました。
すべての画像を見る(全9枚)階段を240段上った先の自然と調和する住まい
趣のある大谷石の階段を上っていくと、丘陵地に20戸ほどの住宅が建っています。「ここは車が入れないし、階段を上ってくるのは基本的に住民のみ。静かで、自然に囲まれていて眺めもよく、鎌倉ならではの落ち着いた雰囲気も気に入りました」と、この敷地を選んだ理由を語る石井秀樹さん。
通勤には1時間強かかりますが、都心に比べれば土地の価格も抑えられ、そのぶん建物に費用をかけることができたといいます。
丘陵地の中腹に建つ石井邸。1階は焼杉板張りで、全面ガラス張りの2階へは外階段からもアクセスできます。「眺めは抜群。階段を上ってきた人へのご褒美ですね」(田中さん)
冷蔵庫も換気扇も収納して視線の抜けを確保
遠くの山まで見渡せる東側に向けてキッチンを配した2階LDK は、ガラスで囲まれた開放的な空間。開口部は石井さん夫妻の目線の高さ=1.6m に設定され、適度なこもり感を実現していますが、ソファや畳敷きの床に座ると空まで見渡せて一気に視界が広がります。
「これ換気扇なの!?」とびっくりする田中さん。昇降式の換気扇は、普段カウンター内に収まっているので空間がスッキリ。
露天風呂感覚を楽しめるオープンなバス空間
四方に眺望が開けた開放的な2階から階段を下りてくると、1階には別世界のようなしっとりとした空間が広がります。なかでも印象的なのは、黒い敷瓦の床を掘り込んで設置された十和田石のバス。
テラスとつながるオープンな空間で、「浴槽につかると、ちょうどモミジが眺められます。夏は風が抜けて気持ちがいいので、窓はフルオープンに。網戸もあるのですが、うっとうしいので代わりに蚊取り線香をたいています」と石井さん。
テラスからバス空間を見たところ。左奥は寝室への通路で、壁のはしごは入浴時に着替えを掛けておくために利用。正面の黒い扉には洗濯機も隠れています。
漆喰の壁に乱反射するほのかな光を楽しむ
左手の玄関から2段下がった寝室は、光量を抑えた落ち着いた雰囲気の空間。明るい階段側との対比も印象的。
玄関側から反対側へ通り抜けられるウォークスルークローゼット。内部は上下に分かれていて、洋服以外のものもたっぷり収納されています。「クローゼットの中を通り抜けられて、お風呂に入るときも、出掛けるときも便利なように考えられているのが素晴らしいですね」と、優れた動線にも感心する田中さんでした。
「住まいの設計2019年10月号」では、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する連載「アンガールズ・田中が行く!建築家の自邸探訪」が掲載されています。
【取材協力】
石井秀樹建築設計事務所
東京都渋谷区広尾5-23-5 2F
石井秀樹さんは1971年千葉県生まれ。'95年東京理科大学卒業、'97年同大学大学院修了。2001年石井秀樹建築設計事務所設立
山田耕司=撮影 石川真理=ヘアメイク
※情報は「住まいの設計2019年10月号」取材時のものです