今、家事術にまつわる実用書が大人気。ほどよく手抜きをしたり、賢く時間をやりくりしたりして、短い時間でパパっと家事を終わらせるコツに、関心が集まっています。
じつはこうした「家事コツ」は、海外でも流行中。同じ家事でも、国が変われば、そのお国柄が出るようで…。
今回ESSEでは、イギリスに注目。イギリスのライフスタイルを伝える情報誌『ミスター・パートナー』の編集長である井形慶子さんに、現地の暮らしの知恵について伺いました。
井形慶子さんに聞くイギリス式エコな暮らし
古いものを長く、大切に使う文化が根づいているイギリス。古着をリメイクして着こなしたり、アンティークの家具を手入れして使ったり…というのも一般的だそう。「最近では、日本と同様、シンプルでモダンなインテリアが流行していますが、新しくモダンな家具と、おばあちゃんの時代から使っているアンティークの家具を上手に組み合わせているのを見ると、すてきだなと思います」。
イギリスの女性は、結婚しても外で働いている割合が高く、よい意味で手抜き上手だとか。「時間もコストもかけず、あるものを上手に使いきり、暮らしているように感じます。環境への意識が高いので、生ゴミを庭のコンポストに入れる光景もよく見かけますね」。
井形さんに、イギリスの家庭でよく取り入れられている家事のアイデアを教えてもらいました。
●皿についた油汚れはティーバッグで落とす
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ガンコな油汚れのついた食器を洗いおけに入れてお湯をはり、使い終わったティーバッグとともにひと晩つけおきします。「翌朝、ふやけたティーバッグで汚れをぬぐい取ればさっぱり! 紅茶をよく飲む冬は、シンクのすみにティーバッグをためておきます」。
●タマネギの皮でシンク掃除
厚くむいたタマネギの皮のネバネバした部分でシンクをこすると、水アカなどの汚れが落ちてピカピカになります。「料理したついでにささっとできるので手軽です。シンクやガラスなど、光る部分をきれいに磨くと、家全体がきれいに見える効果も」。
●砂糖を入れた緑茶でハエよけ
イギリスでは、砂糖を加えた緑茶は、ハエにとって毒と考えられています。深めのスープ皿などに入れてキッチンに置けば、ハエが寄りつかなくなるのだとか。また、ハエが嫌うラベンダーを窓辺につるす方法も多く用いられています。「自然のものなので、安心して使えます」。
●オーブンの汚れは天板が熱いうちに塩をふって落とす
「余熱がまだ残っているうちに天板に塩をふって2~3時間おき、かたく絞ったふきんでこするようにしてふき取るときれいになります」。塩は汚れを吸着する作用や研磨作用があるため、油汚れや焦げつきもよく落ちるのだとか。塩は残さずふき取るのが肝心です。
●使い残しのパンを冷凍してパン粉に
「以前訪ねたイギリスのお宅では、残ったパンを冷凍し、くだいてパン粉として使っていました。市販のパン粉よりサクサクで、おいしかったですよ」。この方法なら、古くなったパンも無駄なく食べられます。
●着ない服は、専用ボックスをつくって人にあげる
傷んではいないけれど、サイズが合わなくなったり、似合わなくなった服は、専用のボックスに入れて目につく場所にキープ。「来客時に、“気に入った人がいればご自由にどうぞ”というシステム。イギリスの家庭ではよく見かける光景です」。
●保存容器のにおいや花ビンのヌメリは塩で落とす
においがついてしまった保存容器は、濃度30%の食塩水を入れて、ひと晩フタをしておくと、塩の効能ですっきり。「花ビンについたヌメリやにおいも、水と塩を大さじ1ずつ入れてしばらく放置し、スポンジでこするときれいに取れますよ」。
●窓は古新聞でふき、ユーカリ油で仕上げ
新聞紙を水に浸して絞り、窓ガラスをふくと、インクの成分で汚れが落ちるとされています。「こびりつき汚れは、濡らしたぞうきんにユーカリ油を数滴つけてふくとさらにきれいになり、虫よけ効果も期待できます」。精油は刺激があるので、マネするときは手袋をつけて行うこと。
●料理が冷めないようにオーブンの余熱で皿を温める
寒さの厳しいイギリスでは、皿を温めてサーブするのが、おもてなしの基本。「オーブンの余熱を利用してお皿を温めておけば、おしゃべりを楽しみながら食事をする間、料理が冷めずおいしい状態をキープできます」。