アメリカで6年ほど過ごした家が暮らしやすく、帰国後にマンションから一軒家に住み替えることを決めたMさん一家。設計は、ホームページを見てそのテイストに魅了されたネイチャーデコールの大浦比呂志さんに依頼しました。「素材から家具選びまでひとつずつ相談しながら決めていったので、建築家とのコラボレーションのようで楽しかった」と夫。こだわりのアイテムに囲まれた暮らしを楽しんでいます。

目次:

100年以上の時を経た古材の梁にアイアンのシャンデリアを空間の印象を決める造作家具や建具好きな素材感にあふれた住まいで、家族が緩やかにつながる

100年以上の時を経た古材の梁にアイアンのシャンデリアを

LDK
すべての画像を見る(全9枚)

南側にテラスやウッドデッキが続く明るいリビングダイニングに足を踏み入れると、古材の梁を配した勾配天井、オーク古材で製作されたダイニングテーブルやヴィンテージスタイルのソファによく合うテラコッタの床など、個性豊かな素材や家具が散りばめられた大空間が広がっています。

中でも印象的なのが、リビングとキッチンに採用された壁。「造形擬石といって、モルタルで石積みの壁をリアルに再現しています」と大浦さん。

LDK

「スペインの古い家の画像を見つけて、こんな壁にしたいと相談したら、これができ上がったのです」と、夫がうれしそうに話してくれました。

LDK

室内には、アメリカ出張で買ってきた同国の家具ブランド、レストレーション・ハードウェアのフロアスタンドや20年以上愛用しているイデーのソファ(写真左)、さらに「ぜひ採り入れたかった」というネイチャーデコールオリジナルのアイアンのシャンデリア(写真右)など、思い入れのあるアイテムばかり。

空間の印象を決める造作家具や建具

建具や造作家具にも、好きな素材感をふんだんに取り入れました。

バイオエタノール暖炉とドア

手軽に火の温もりを楽しめるバイオエタノール暖炉は天板をモールテックスで仕上げ、扉には古材を採用しています(写真左)。
玄関ホールからリビングに続く扉は、1850年代にフランスのブルゴーニュ地方で使われていたというアンティークドア(写真右)。

一角にワインの収納スペース

キッチンカウンター下の収納の扉にも古材を使い、一角にワインの収納スペースをデザインしました。

緑あふれるアプローチ

玄関回りの外壁には趣のある古レンガを採用し、緑あふれるアプローチには表情豊かなテラコッタを組み合わせています。

好きな素材感にあふれた住まいで、家族が緩やかにつながる

LDK

リビングの床材はテラコッタ、1段上がるダイニングには幅広のオークフローリングを採用。素材と段差により、ひとつながりの空間を緩やかに分けています。家の中心に位置する階段は、ベンチになったり季節ごとにディスプレイを替えて楽しんだりできる場所。

キッチン

ダイニングとつながるキッチンは、アメリカで住んでいた家をベースにコの字型に配置し、妻の要望で庭に面した窓を設けました。作業スペースが広いため「お弁当をつくっている隣でパンを焼いたり」(妻)と、娘たちとの共同作業も快適なのだそう。

プライベートゾーン

2階は水まわりと個室があるプライベートゾーン。洗面室とトイレにはアンティーク調タイル貼りの腰壁を採用し、統一感をもたらしました。ランドリールームを別に設けることでスペースをゆったり確保した洗面室には、白で統一したダブルシンクの洗面カウンターとミラーキャビネットをシンメトリーに造作。ランドリールームと物干しスペースを備えているため空間がすっきりキープできるなど、機能性も充実した住まいです。

設計/ネイチャーデコール・大浦比呂志創作デザイン研究所
撮影/水谷綾子
※情報は「住まいの設計2019年2月号」取材時のものです