ともに50代のOさん夫妻は、妻の両親が住んでいた埼玉県和光市の住戸を受け継ぎました。都心に出やすい立地で、緑も豊かな魅力的なマンションですが、建築されたのは昭和59 年。「老朽化が目立ち始めたので、私たちふたりがもっと暮らしやすいよう、リノベーションを考えました」(夫妻)。リノベしたのは専有面積84.99㎡のうちの約3分の2 、59.40㎡。ふたり暮らしにフィットするコンパクトなスペースを、いかに機能的で快適にするかがテーマだったそうです。

目次:

寝室やランドリーもLDKと一体化で快適!コンパクトなつくりと内装はまるでホテル!こだわりのセレクトはコレ!

寝室やランドリーもLDKと一体化で快適!

リノベの設計・施工は、オリジナル家具やキッチン、洗面台の製造・販売なども行うFILEに依頼。雑誌を見て惹かれた住宅実例記事の内装を手掛けたのが、FILEだったそう。

工事費は1300万円(税別・設計料込み。置き家具、照明は別途)でした。

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「代表の石川敬子さんに会う機会を得て相談したところ、コンパクトに暮らすための一歩踏み込んだ提案に感心して、設計から内装、家具選びまでお願いしました」。

白いキッチンはFILEオリジナル。円型のダイニングテーブルは「空間を有効に使えて、人数によってフレキシブルに対応できる」という石川さんのアドバイスで選びました。

リノベ前のLDからキッチンを見たところ

キッチンの位置は変えていませんが、リノベ前はLD側の開口部が狭くて対面キッチンのよさが半減していました。

構造上、コンロ前の壁は残りましたが、キッチンは可能な限りオープンに。広くなったワークトップ兼カウンターには、エンボス状のアクリル系素材を採用しています。モノトーンでまとめた空間には、気品を感じますね。

キッチンとの一体感を増したLDKは、隣接していた和室を撤去して空間を拡大しました。
そしてなんと、その空間のなかにベッドコーナー、さらにランドリーコーナーまで配置!ランドリーはカウンターに組み込んであるので、見た目もすっきりしています。
これが、夫妻のいうFILEにリノベを依頼した決め手「一歩踏み込んだプラン」というわけです。

「意外ですが、実際に暮らしてみると、驚くほど暮らしやすい」(妻)、「リビングはベッドも込みでくつろぎの空間。すぐに慣れましたし、開放感があるのもいい」(夫)。

コンパクトなつくりと内装はまるでホテル!

左はリノベ前、右はリノベ後の洗面室

洗面台はFILEオリジナル。浴室とはガラスドアで仕切り、広さを演出しました。洗面室の入り口も廊下ではなく、LDKのなかに。すっきりとしていながら、必要な機能をひとつの空間に効率よく配したつくりは、ホテルを思わせます。

ホテルライクといえば、LDK床に採用したカーペットもそうですね。フローリングと違い、カーペットは踏み音が静かで快適です。

カーペットは玄関ホールにも採用しています。広々と見えるこのホールは、以前あった納戸を取り払い、さらに玄関土間との段差をなくして空間を一体化させたものです。
ゆとりがあり、大きな姿見も馴染んで見えますね。

既存のままにした部屋も室内ドアを変更して、リノベ空間との統一感を出しています。トイレも内部を一新。英・デザイナーズギルドの紙クロスは、FILEのショップで見て気に入ったものです。

こだわりのセレクトはコレ!

FILEでは同社オリジナル家具のほか、海外メーカーのインテリアも購入しました。

ウォールナットの脚がアクセントのソファは、FILEオリジナル(41万6000円・税別)。広めの座面はくつろぎのひとときにぴったり。3本脚のスツールは、FILEがOさん用にデザインしたもの。ベッドサイドのテーブル代わりにもなります。

ミニシャンデリアはルイス・ポールセン社のPH2/1ステム・フィッティング。3灯で、照らすものに自然な陰影を与えます。ハンス・J・ウェグナーデザインのYチェアは、ダイニングで使用。美しいフォルムと座り心地のよさで、日本でも人気の品です。

「本当にホテルに住んでいるみたい」とは、納得の感想ですね。

設計・施工/FILE
撮影/ 水谷綾子
※情報は「リライフプラスvol.29」取材時のものです