「新築マンションは高くて手が出ないので、中古マンションを購入しよう」と考える人は少なくないでしょう。中古マンションとひと口に言っても程度は様々。では、どの程度の築年数までなら安心して購入できるのでしょうか?ここでは、築年数に応じた中古マンションの価格と世間の動きもチェックしたマンションの価格について解説します。中古マンションの価格はどのように値付けされているのか、きちんと理解し納得した上でマンションを購入しましょう。
1. 築年数でどのくらいマンションの価格は違う?
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中古マンションの販売価格は需要と供給のバランスに非常に左右されます。
また、不動産を購入するときは住宅ローンなどの融資を受けることがほとんどです。
金融機関の融資可能額は法廷耐用年数と、返済が滞ったときに、物件を売却したお金で資金回収が可能かどうかで決定します。
融資期間が長く、資金回収ができる物件は、一般的に市場価格が高めになります。
では、築年数はどのように価格に影響するのでしょうか。
また、「買い」の時期はいつなのでしょうか。
1-1 築5年程度のマンション
築5年くらいまでのマンションは、設備の劣化もそれほどありませんし、グレードは違うものの設置してある設備の種類も新築物件と大差ありません。
そのため、新築価格の10%くらいしか安くならないと考えておいてください。
劣化が激しい、売主がすぐに現金化する必要があるなど、売却の際に不利な条件が加わったりすると20%くらいまで下がりますが、立地や設備などの条件が同じならば、物件同士の価格差はそれほどありません。
1-2 築5年~10年のマンション
都道府県やエリアにより差はあるものの、築10年での平均下落率は、25%ほどになると言われています。
築10年前後の中古マンションは、とても人気があります。
築5年以内の物件に比べ割安で、築12年を超えると住宅ローンを35年で借入れできなくなるからです。
鉄筋コンクリート造マンションの法定耐用年数は、1998年の税制改正以降は47年となっています。
築12年までの物件なら、35年の住宅ローンが組めるため、人気が高いのです
1-3 築10年以降のマンション価格
上記に述べた法定耐用年数と融資期間の関係で、築10年以降のマンション価格は割安になります。
不動産業界では一般的に、築20年での下落率は平均40%、築30年になると平均60%ほど下落すると考えられています。
近年は相続問題や核家族化などで、空き家が増加し、築年数の経ったマンションの販売が増えています。
そのため、築30年超のマンションは、売り出しの件数が増えているのです。(※1)。
2.世の中の動きもチェックして
せっかくマンションを購入するなら低金利でマンション価格が割安なときに買いたいと思うでしょう。
景気や時代のトレンドを読み取ることは、自分がどのタイミングでマンションを購入すべきかを判断するためのツールになります。
2-1 オリンピックの影響は?
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2013年の東京オリンピック決定以降、販売されるマンションの価格に異変が起こりました。
東京都内を中心に中古マンション価格は上昇をはじめ、築年数に関わらずマンションの資産価値が高まっていました。
中古マンションの中には、新築時の販売価格上回る値段で取引される物件もありました。
ですが、その動きにも昨年あたりから陰りが見え始めています。
外国人投資家がひと段落することと、世界的に金利の上昇が始まり、日本も金利を上げるとの予想が原因です。
一般財団法人・日本不動産研究所の予想では、新築マンションの価格水準は、2020年の東京オリンピック前後がピークと予測されています(※2)。
中古マンションも新築マンションと同じカーブを描くことは安易に予想されますので、全体傾向として、中古マンションも価格の下落が始まると考えられます。
2-2 リノベーションが当たり前になってきた
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近年、「リノベーション」が一般的になってきました。
中古マンションを購入して、内装を自分の好みや家族の状況に合わせれば、リーズナブルに注文建築のような住まいが手に入ると、今まで見向きもしなかった人たちが、中古、しかも築30年超のマンションも購入対象として注目し始めました。
そのため築30年超のマンションの売り出し、成約は昨年よりも増加しています(※1)。
3.まとめ
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これらのことから、築6年~築20年のマンション購入をおすすめします。
マンション価格は築5年目までは割安感がなく、築20年を過ぎると担保価値の関係で長期のローンが組みにくくなるからです。
15年前後ならば割安で、比較的長期のローンを組むことができます。
低金利で、税制優遇が受けられる時期を狙ってこの時期の物件を購入してはいかがでしょうか。
(宅地建物取引地・ファイナンシャルプランナー/AFP 吉井希宥美)
<参考> (※1) 公益財団法人 東日本不動産流通機構 2019(平成31)年2月27日・レインズトピックより (※2) 一般財団法人 日本不動産研究所 2018/9/27プレスリリースより