以前は都心にある55平米のマンションに住んでいたYさん夫妻。住み替えは積極的に考えていなかったそうですが、妻の実家近くで売りに出たヴィンテージマンションの一住戸の広さや管理体制に惚れ込み、一番乗りで申し込み、購入。「古きよきものは残そう」という姿勢でリノベに取り組むオフィス・エコーの江本響さんに依頼し、工事費1,420万円(税・設計料込、施主支給分は別途)で解放感のある空間にリノベーションしました。
LDK横に寝室を配置し、視線の抜ける約30畳の空間に
すべての画像を見る(全9枚)チークの木目の濃淡が美しい既存の壁面収納がしっくりなじむLDK。間仕切り壁の多い3LDKを贅沢に2LDKにつくり替え、フレンチヘンリボーンの床や海外の大きな家具が映える大空間に生まれ変わりました。
そのすぐ横には、ガラスに囲まれた明るい寝室を配置。LDKからの視線の抜けのよさと、寝室としての機能のバランスを考えて、ガラス面の高さを決めています。外部に面した窓と屋内窓との相乗効果で、ひろびろ感がさらにアップ。
「LDKと寝室を足すと約30畳で、かなりゆったり。すごく快適です」と夫妻。
独立型キッチンをオープンスタイルに変えて、リビングダイニングと一体感をもたせたキッチン。天板はステンレスのオリジナルで、キャビネットはイケアのものを採用しました。
オープン棚に並ぶ調理器具はシックな色調で統一し、既存部分を残したLDKにうまく馴染んでいます。
リビングダイニングの一角につくられたコンパクトな書斎は、家で仕事をすることも多い夫のためのスペース。「子どもはこの段差が好きみたいで、友達が来るとここに集まって座っています」とのこと。
窓際に視線を向けると、そこには陽がたっぷり差し込むサンルームが。リビングの風通しをよくし、寝室と外部との緩衝地帯にもなっています。マンションの管理規約で、洗濯物の乾燥は地下の乾燥室でしていますが、小さなものはここに干しています。今後は観葉植物を増やす予定だそう。
子ども室につながる便利な回遊土間
長男が赤ちゃんだったときの等身大ポートレートがお出迎えしてくれる玄関。正面の壁はリブ材張りで、塗り壁主体の壁面のアクセントになっています。もともと個室と納屋があったスペースを縮小して、贅沢な広さを確保。そこに将来子ども室にする予定の個室をつくり、ぐるりと囲むようにL字型の土間を設けました。
外から帰ってきてベビーカーやアウトドア用品などをそのまま置ける便利なこの土間。玄関土間から個室へ、個室から玄関ホールへと、ぐるりと回れる回遊動線になっています。
土間の突き当りにあるこちらが、将来子ども室にする予定の個室です。
ゆったりとした広さを確保したサニタリー
サニタリーは配置を調整して広がりを確保しました。浴室をやや拡張し、洗濯機置き場を兼ねていたスペースを洗面室に一新。新しい浴室の壁面と既存壁との間の隙間を、洗面室側から使えるタオル収納に利用しています。
以前洗面台があった場所は洗濯機置き場に変更(写真左)。玄関とサニタリーを仕切る建具は、前のキッチンで使われていたものを再利用しています。設備機器の調達には、夫が奮闘。ハーフユニットバスも温水洗浄便座もネットで購入して施主支給することで、コストダウンになりました。
リノベが完成してしばらくたった頃、友人たちを招き、寿司職人に出張してもらって食事会を開いたそう。エクステンションのダイニングテーブルを広げ、キッチンで握ったばかりの寿司を味わい、大人6人と子ども2人で大いに盛り上がったとか。「すごく好評で、職人さんは、過去最高にやりやすかった、と言ってくれました」。
Yさん一家は、広い空間ならではの生活を楽しんでいるようです。
設計 オフィス・エコー
撮影 遠藤 宏
※情報は「リライフプラスvol.19」取材時のものです