夫妻の会社が近いことから、多摩エリアに絞って物件を探した佐々木さん夫妻。空間社に同行内覧から依頼し、築32年、専有面積83平米の大規模マンションの一室を購入。施主支給やDIYを組み込みつつ、予算とほぼ同額の1,070万円(税・設計料込み・施主支給は含まず)で、愛着のある家をつくり上げました。
ヘンリボーンの床とDIYの漆喰壁が調和するLDK
すべての画像を見る(全9枚)のびのびとしたLDは、既存の和室とLDの間仕切りを撤去して実現。梁や一部の壁は残っていますが、遮られる感じはまったくありません。そして、佐々木邸を語るのに、床・壁の漆喰塗りのDIYは欠かせません。
躯体に塗った漆喰のムラ感とヘンリボーンの床、使い込んだ風合いのソファが良く馴染んでいます。床はバルコニー側の一部を土間仕様とすることで、戸外との一体感を創出しています。
キッチンは、位置はそのままで設備を一新しました。シンプルな箱状のレンジフードはオリジナル。妻が向かうカウンターの腰壁は、羽目板を1枚ずつ張り合わせて造作しました。
キッチンの壁にはタイルを貼って模様替えをしています。ハケで手塗りしたような色ムラと素朴な質感が、ク ールなキッチンに温もりをプラス。LDやホールのヘリンボーン張りの無垢フローリングは、独特の存在感が空間のレトロ感を際立たせています。
「ヘンリボーンは寄木状に張り込むのに手間がかかり、通常のフローリングの3倍程度のコストになりますが、その分お客様の満足度も高いです」と、空間社の朝倉さんは話します。
ダイニングも壁と天井をDIYで漆喰塗りに。テーブルは、建築家・谷尻誠さんがプロデュースするデザイン家具のDIYキット「MaKeT」のもの。椅子は、あえてバラバラなデザインのものを組み合わせています。
こだわりのアンティークドアを施主支給
佐々木邸のリノベーションにおいて、費用を特に費やしたのは内装と建具。ホール周りの部屋のドアはいずれもアンティークで、この家の顔としても機能しています。また玄関の靴収納は、足場板を棚板として利用しました。
そして寝室のドアも、施主支給によるアンティークです。「アンティークは少し高いけれど探すこと自体が楽し く、金額だけで評価できない魅力があります」と夫。
DIYと施主支給で理想の空間に
洗面とトイレのドアは合板ドアにDIYで塗装し、ローコストながら楽しい仕上がりに。壁上部のガラスブロックが、人の気配を伝えてくれます。
また、トイレは手洗器の横に小物が置ける棚と横長の鏡を配して、利便性をアップさせました。棚に沿って壁に貼られたモザイクタイルがおしゃれ!
洗面室は、白いタイルを壁の隅々まで貼って上質感あふれる空間に。ペデスタルシンク、混合水栓、サイド収納は施主支給で好きなものを用意してつくり上げました。
また、浴室は在来工法を選択し、壁と床に好みのタイルを貼りました。そのデザイン性の高さと清潔感はもう格別。
最後に、施主支給やDIYは、結果的にコストを下げるのに役立ったけれど、むしろ一緒につくり上げることでいっそう家に愛着が生まれた、と夫妻は語ってくれました。
設計・施工 空間社
撮影 山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.18」取材時のものです