いざイヌやネコと暮らそうと思っても、実際に飼うのは結構大変。動物達は退屈だったりストレスが溜まると、言うことを聞かなかったりいたずらしたり、手に負えなくなってしまうこともあります。可愛いペットには、気持ちよく暮らして欲しいものですよね。実は、居住空間に少しの工夫を加えることで、イヌもネコもノンストレスで生活することが出来るんです。今回は、人、イヌ、ネコが共存するために考え尽くされた、アイデアいっぱいのSさんご夫妻のお宅へお邪魔しました!

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目次:

ペットを迎えるためのリノベーションネコは「立体」、イヌは「平面」まだまだある!イヌとネコと暮らす知恵がいっぱい!

ペットを迎えるためのリノベーション

現在2匹のネコと1匹のイヌと共に暮らすS夫妻は、4年前に転勤生活を終え、長年夢だったペットとの生活のため、夫の父親が建てた築40年の和風住宅をリノベーションしようと考えたそう。ご夫妻のリクエストは2つ。

老後を考え、1階のみで暮らせるバリアフリーの家にすること、そしてネコ2匹と中型犬1匹を飼うことを想定していることでした。

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欄間を取り払い、LED照明にしたので、天井が高くスッキリとした印象に。立派なアカ松の板が張られていたので、色味を合わせてドアやサッシを選び、統一感を出したそうです。

ネコは「立体」、イヌは「平面」

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「ペット用の設計のポイントは、イヌとネコで全く異なるんです。」と、建築家は話します。ネコの場合は、空間を「立体」でとらえ、飽きずに運動が出来るようにするのが大切。

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S邸では、縁側→DK→廊下→階段と移動できる、ネコ専用の動線を作りました。

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行ったり来たり……。ネコ達にとっては格好の遊び場です。激しい動きをすることを想定し、壁などの材質にはこだわったそう。

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パントリー上に設えた1畳ほどの空間「ネコシェスタ」。

2匹のネコ達は、ここから人を見下ろしたり、外を眺めたりします。出入りは20cm角の穴から。まるでネコの秘密基地みたいですね。

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一方イヌのための設計は、「平面」で行うそう。リビングはしつけができる広さを取り、トイレスペースは縁側に、ハウススペースはリビング横に設置。いずれもタイル貼りで床から一段下げています。

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水洗いがしやすいだけでなく、足触りがフローリングと違うことで、自然にトイレを覚えるのだそう。しつけが楽になり、人にもペットにもストレスがかかりません。他にも、換気扇を低く設置することで、ニオイが広がる前に排出する工夫もされています。

まだまだある!イヌとネコと暮らす知恵がいっぱい!

S邸には、他にもイヌとネコ、そして人が、互いにバッティングせず、ストレスフリーで過ごせるアイデアがいっぱい。

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リビング横のハウススペースは、玄関からも直接出入り可能。将来、イヌの介護が必要になることを見据えての設計です。もちろん、こちらも清潔に保てるようタイル張りにしてあります。

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ネコ用階段とキャットウォークの間にある柱を爪研ぎ柱に。遊び場近くにあるので、爪研ぎをここで済ませる習慣がつき、別の場所を傷つけない効果があるそう。

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散歩から帰ると、玄関の小さい洗面でタオルを濡らし、イヌの足の汚れを拭きます。足洗い場がなくても、これで十分だとか。
人、ネコ、イヌが、それぞれの生活を邪魔することなく過ごせるよう工夫を凝らした家。ペットと一緒に住む家は、お互いがストレスなく、落ち着いて暮らせることが理想のようです。

設計/広瀬慶二
施工/ヨークベル
撮影/川辺昭伸
※情報は「住まいの設計」取材当時のものです