突然ですが、皆さんはペットを飼っていますか?家に帰ると愛らしい仕草でお出迎えしてくれるペットの存在は、家族にとっても大切な存在になるものですよね。「今は無理でも、いつかは飼いたい……」と思う人も多いはず。でも、家が狭いとペットにも自分達にもストレスが溜まりそう?人と動物が、ほどよい距離感で暮らせる家って、どんな家でしょう?愛する3匹のネコ達と楽しく暮らす工夫やアイデアがいっぱいのマイホームを実現した、Oさんご夫妻のお宅にお邪魔してみましょう。
すべての画像を見る(全11枚)狭い間口に立体的に広がる家
昔ながらの商店や住宅が立ち並ぶ都内の一角、間口2.5m、奥行き11mの狭小地にあるOさんのお宅。あまりに間口が狭いからか、物件の紹介文には「資材置き場に最適」と書いてあったそう。
しかし、別の狭小地を検討していた際「工夫すれば建てられそうだ」という感覚をつかんでいたOさんご夫妻に不安はなかったのだとか。
9つのスキップフロアで可能な限りの広さを確保。地下1階・地上3階建ての建物は、まるでその家全体がキャットタワーのよう。
家じゅう、ネコの大好きなスポットがいっぱい!
ダイニングの壁には、ネコ達が縦横無尽に歩き回れるように、ステップが。最初からつけるつもりだったそうで、壁には丈夫な下地を入れてもらったとか。ネコ達は、このステップとハシゴを使って、2階とロフトを行き来するそう。飾り棚としても使えるのも嬉しいですよね。
ネコ達が好きな場所は、地下室だったり、ロフトだったり、屋上だったりと様々。冬の日中は日当たりが良いリビングやロフトの窓辺が定位置で、逆に夏は涼しい地下室。
最上階のロフトは、天井も低く、「隠れ家」的な場所。ここで読書を楽しんでいると、ネコがよってきて一緒にまったりと過ごすことも。
ロフトからリビングダイニングを見下ろすと、こんな感じ。ネコってこんな風に“上から下を見下ろす”のも大好きなんですよね。ステップフロアにすることで、段差をあえて増やし、ネコにとっての「見下ろしポイント」をたくさん作ったのもポイント。
屋上では、草を食べたり鳥を目で追ったり、外気に触れながら開放的に過ごす日も。
「ネコたちはいろんな居場所を、そのときどきの気分によって回遊しながら過ごせる空間になっています」と建築家の相原まどかさん。
ネコと仲良く暮らす知恵がぎゅっと詰まってる!
「資材置き場に最適」とまで言われた狭小地に建てられたこの家には、人とネコがストレスなく暮らすための工夫やアイデアがたくさん!
床の高さに細かく変化をつける“スキップフロア”で広さを確保しただけでなく、地下から最上階までの空間は途切れることはなく、部屋同士の間仕切りもないため、ネコたちは自由に行き来することが出来ます。
西向きの日当たりのいいリビングは人にもネコにも快適な空間。大きな窓から外を眺め、ネズミが電線を駆け抜ける様子に見入っていることもあるのだとか。
とにかくネコは高いところが好きこぢんまりとして「隠れ家」的なロフトは、ちょっとほかのネコと離れて過ごしたいときには隠れ場所にもなりますよね。
段差と居場所がいっぱいの、キャットタワーのような家。飼い主とペットというより、「同居人」に近い自由でパラレルな関係性を実現してくれています。
設計/相原まどか+山﨑敏幸(YUUA 建築設計事務所)
施工/栄建
撮影/大槻夏路
※情報は「住まいの設計」掲載時のものです。