長く続くコロナ禍。不安を感じたり、鬱々とした状態になっている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、うつ専門メンタルコーチの川本義巳さんに、長引くモヤモヤ・イライラを解消する方法を教えてもらいました。

悩む女性
コロナ禍で長引くモヤモヤ・イライラ

コロナ禍で長引くモヤモヤ・イライラを解消する方法

去年の今頃、私自身コロナ禍について「夏過ぎにはなんとかなるんじゃないかな」と思ったりしていましたが、実際にはその予想を反して、1年以上継続をしているという結果になっています。
この間、私たちの生活は大きく変わりました。マスクの常時着用と手指消毒、ソーシャルディスタンスなど、これまでになかったことがまるで法律のように当たり前に生活に入り込んできています。

仕事や経済面でも、飲食店への時短要請やテレワークの推奨など、かなりの影響が出ました。
その状態が1年以上続き、ようやくワクチンが出てきましたが、まだまだ今の生活様式が終わるような気配はありません。

●重要性を増す心のケア

当然ですが、我慢している部分もたくさんあります。ストレスもかかります。
私は、うつになる要因に「ストレスが継続すること」があると思っていますので、今の状況が続くのは心配な面がかなりあるなあと危惧しています。
実際、うつの人が増えているとか、自ら命を絶つ人も増えているという報告もありますから、今後心のケアということがクローズアップされてくるのではないかなと思います。

この状況を切り抜けるためにはどうすればいいのでしょうか? まずはここで少し、「ストレスを感じているとき、その人のなかでなにが起こっているのか?」について考えてみましょう。

●ストレスを感じているとき、なにが起きているのか

ストレスの渦中にあるとき、その人のなかでは「自分にとって不快な状況」が起きています。
それが簡単なことならすぐに解消はできます。たとえば「汗をかいてしまって気持ちが悪いからシャワーを浴びる」などがこれにあたります。ほかにも「おなかがすいたから、食べ物を食べる」「テレビをつけたら嫌なシーンだったのでチャンネルを変える」「騒がしい場所から離れる」など、自分にコントロールできることはたいして問題にはなりません。

ところが、自分で解決できないことを考え出すと、そうはいきません。今回のコロナの件も同様で、現時点であれこれ不安に思っても、コントロールはできません。
でも、その状態が長期化しているために、どうしても常にストレスを感じる結果になりがちです。

これはうつの人にも言えるのですが、不安の先取りばかりをするとうつから抜け出すのは難しくなります。なぜなら、それは今の時点では答えが明確にはならないし、そのときにならないとわからないこともたくさんあります。自分がコントロールできないことを考え続けると、できない自分のオンパレードになるので、必然的にストレスフルにはなります。

●対応するための3つのポイント

この状況が続くのであれば、どうやってこれに対応していけばよいのか?
それには3つのポイントがあります。

1.余計な情報を入れないようにする

情報過多の現代において、正しい情報も間違った情報もたくさん目にするようになりました。とくにネットの世界では、探せばいくらでも情報を取ることができます。情報はうまく使えば有益ですが、取り方を間違えると逆効果です。
SNSなどは不特定多数の情報が流れますので、「あえて見ない時間をつくる」などの工夫をしましょう。

2.今自分にできることに集中する

これは多くの方が言われていることですが、「今に集中する」ことで不安から解放されます。
不安は未来の先取りなので、不確定なものよりも現実的な今に意識を向けるとその分の意識は変わります。また「できること」を意識してやることによって、他人や自分の理想と比較することが減りますから、メンタル的にも安定していきます。

3.日常のなかのよい面を意識する

我慢することやストレスに感じることが多い状況ですが、そのなかでも喜ばしいことや問題なく過ごせていることもたくさんあります。これまでの忙しい日常では当たり前に起こっているこれらの事象を意識することもありませんが、今のこの時期だからこそ「考えてみればうまくいっているなあ」ということに目を向けてみましょう。

いろいろと不便なことも多いですし、自分が我慢していることを平気でやっている人をみかけるとイライラしたりもしますが、そのことで病んでしまうのはもったいないです。日常でできることを工夫しながら、この状況を乗り越えていきたいものですね。