●自信のなさが被害妄想につながり、キレやすい子どもを生む

では、子どもが自分に自信をもてないと、どんなことが起こるのか。そのリスクのひとつが、不適切な考えをもち、キレやすい子どもになってしまうということです。

「たとえば、A君とB君の二人がなにか間違った行動をして、Cさんから『それは違う』と指摘されたとします。A君は『Cさん、親切にありがとう』と好意的に感じたとしても、自分に自信のないB君の場合は『うるさい、馬鹿にしやがって』と被害的に感じてしまう。このように、自分に自信がない子どもほど『バカにされているのだ』『自分はどうせダメな人間だ』と感じ、他人の言葉を好意的に受け取れなくなってしまいます。その結果、日々の生活で募ったストレスを爆発させ、キレてしまうケースも少なくありません」

人の発言に対して、好意的に受け取るか、被害的に受け取るかは、それぞれの考え方ですが、前者の方が生き方としてはプラスなはず。では、自信のない子どもが被害感を募らせないようにするためには、どうしたらいいのでしょうか。

「相手に悪気があったわけではない可能性を想像する習慣をもってもらうことが大切です。子どもが自分に起きた出来事を悪く受け取ってしまう前に、『もしかしたら、こういう可能性があったのかもしれない』と考える習慣です。たとえば、目の前にいた子が自分を見て笑っていたとして、『自分が馬鹿にされた!』と怒るのではなく、『もしかしたらなにか楽しいことを思い出したのかもしれない』『自分の後ろにおもしろい人がいたのかもしれない』などと想像するような習慣をつけてもらうことが効果的かもしれません」

●早期からの対策があれば、能力を伸ばすことも可能

また、子どもが自信を失っている際、親や先生など周囲の大人にとって大切なのは、「自信を失った背景がどこにあるのか」を見極めることです。

「もちろん、その子のいいところや強みを見つけ、伸ばしてあげること、誉めて自信をもたせ、役割を与えて活躍させることは重要ですが、それに加えその子が自信を失った背景はどこにあるのかを分析しておくことです。そのためには、子どもをしっかりと観察してあげましょう。境界知能についてはまだわかっていない部分も多いものの、早期から苦手な分野を見定めて練習すれば、ある程度能力を伸ばすこともできます。『まだ子どもだから』と様子を見るのではなく、少しでも早い段階から、できることを考え、対応してあげることが大切です。家庭や学校だけでは解決できない場合は、児童相談所や医療機関などの外部機関と連携することも視野に入れておきましょう」

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