今が旬なキノコ。焼くのはもちろん、炊き込みご飯などにしてもおいしく食べられて、まさに日本の秋を代表する食材ですよね。では、アメリカではどのようにキノコを食べているのでしょうか…? 今回、アメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「北米でのキノコ狩り事情とキノコ料理レシピ」について教えてもらいました。

北米の山の幸、秋の争奪戦

シアトルのあるワシントン州は、自然豊かな山々が広がり、秋になると森の味覚、キノコがにょきにょきと姿を見せ始めます。山や森にはだれでも出入りできるハイキング用のトレイル、キャンプ場、公園が多くあり、地元の人々は秋のアクティビティーのひとつとして、気軽にキノコ狩りを楽しんでいます。

シアトルの秋は、長い長い雨の季節の始まり。雨がどっさり降ったあとに山や森を訪れると、さまざまなキノコに出合えます。

アメリカのキノコ
北米でよく見かけるシャントレールという種類のキノコ
すべての画像を見る(全6枚)

わが家も、毎年秋になると、車で2時間くらいかけて山あいの森に出かけ、ハイキングがてらキノコを収穫しています。とくにお気に入りなのは、シャントレールと呼ばれるキノコ。日本語ではアンズ茸、フランスなどヨーロッパではジロールとも呼ばれるキノコの仲間です。シアトルでは市場やスーパーマーケットにも並ぶ、おなじみのキノコ。しかし、500グラム当たり15ドル(1700円ぐらい)と、なかなかのお値段になります。そんな高級キノコを見つけると、やはり喜びもひとしおです(笑)。

●北米流!シャントレール(アンズ茸)の食べ方は?

炊き込みご飯

日本人の感覚では、キノコと言えば炊き込みご飯、ですよね。わが家でも一応、つくりますが、「味が薄い」とあまり評判はよくありません。そこで母はひと工夫。いつもの炊き込みご飯に塩昆布とバターを加え、味を濃く、より深みを出します。シャントレールの甘みがバターや塩けとよく合い、日本人の舌にもとてもおいしく仕上がります。

シャントレールに限らず、アメリカでキノコを使ってよくつくられているのは、チキンやポーク、ビーフなど肉のグリルやパスタ向けのクリームソースと、前菜やワインのつまみにぴったりのマリネ。アメリカ人の夫もそうですが、やはりこうした濃厚なフレーバーが好まれるようですね。今回はパスタやお肉に合う、キノコのクリームソースとキノコのマリネのレシピを紹介します。

●キノコのクリームソース

キノコ料理

 

【材料(4人分)】

  • 好みのキノコ 500グラム程度
  • オリーブオイル 大さじ1
  • 刻みニンニク 1片分
  • タイムやパセリ、チャイブなど好みの刻み生ハーブ 適量
  • 塩、コショウ 適量
  • 白ワイン 1/4カップ
  • 生クリーム 1/2カップ

【つくり方】

(1) キノコは石づきや汚れを取り除き、好みの大きさに割いておく

(2) フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて熱し、香りが出てきたら、キノコを加え、さっと炒める

(3) 白ワインを加えてアルコールを飛ばし、さらに生クリームとハーブを入れ、塩・コショウで味を調える

これでクリームソースは完成。このなかにグリルした肉、またはゆでたパスタを投入し、フライパンのソースと絡ませ、お皿に盛りつけたらできあがりです!


●キノコのマリネ

キノコのマリネ

 

【材料(4人分)】

  • 好みのキノコ 500グラム程度
  • オリーブオイル 大さじ2
  • バター 大さじ1
  • タイムやパセリ、チャイブなど好みの刻み生ハーブ 適量
  • 塩、コショウ 適量
  • レモン汁 半個分
  • ワインビネガー 大さじ1
  • スープストック(または固形スープの素などを湯で溶かしたもの) 1カップ

【つくり方】

(1) キノコは石づきや汚れを取り除き、好みの大きさに割いておく

(2) フライパンにオリーブオイルとバターを入れて熱し、香りが出てきたら、キノコを加え、さっと炒める

(3) レモン汁、ワインビネガー、スープストックを加えて半量くらいになるまで煮詰め、さらにハーブを入れ、塩・コショウで味を調える

(4) 容器に入れ、冷蔵庫でひと晩以上置く

マリネはそのままでも、トーストやサラダにトッピングしても、おいしいですよ。

 

●北米の松茸は日本の松茸と見た目が全然違う!

シアトル近辺では松茸もよくとれるのですが、日本の松茸とちょっと違い、色が白っぽく、サイズもかなり大きくなります。松茸狩りにはコツがあるようで、わが家のような、にわかマッシュルーム・ハンターにはややハードルが高いのですが、昔から日本人、日系アメリカ人、その他アジア系の間で、松茸狩りは大人気です。

キノコ

最近では、地元でも「マツタケ・マッシュルーム」の認知が進んできており、空前の和食ブームの今、高級レストランや地産地消にこだわるシェフが料理に取り入れているようです。それも、日本へのリスペクトを感じる和のアレンジが利いていて、しょうゆやみりんなど日本らしい調味料が使われていることにびっくり。日本の代表的料理として、「マツタケ・ゴハン」、「マツタケ・ライス」のレシピも、グルメ系メディアで取り上げられています。シアトル界隈では、日系やアジア系のスーパーマーケットほか、ファーマーズ・マーケット、ナチュラル系のスーパーマーケットでも松茸をたまに見かけるようになりました。

日本人にもおすすめなのは、すき焼きの松茸を思わせる、ちょっと驚きのアレンジ方法。香り豊かなうえ、口いっぱいに牛肉と松茸のうま味が広がり、特別なディナーにもぴったりです。

●ローストビーフの松茸添え

松茸添え

 

【材料(2人分)】

  • 松茸 2本程度
  • ローストビーフまたはステーキ 好みの量
  • しょうゆ 1/4カップ
  • みりん 1/4カップ

【つくり方】

(1) 松茸は石づきや汚れを取り除き、スライスしておく

(2) ジッパーつき保存袋にしょうゆとみりん、松茸を入れ、よくもみ込む。冷蔵庫でひと晩以上置く

(3) フライパンに(2)の中身をすべて入れ、汁が半量になるくらいまで煮詰めて火を止める

(4) フライパンにスライスしたローストビーフまたはステーキを入れ、汁を絡めて皿に盛りつける

ぜひ、松茸を肉でくるんで食べてみてください。

上のレシピを参考に、スーパーマーケットで手頃な輸入ものの松茸を見つけたら、試してみてくださいね。椎茸やエリンギなどでも代用でき、おいしく仕上がりますよ。

 

◆Norikoさんのそのほかのシアトルレポート記事はこちらもチェック◆

ついにアメリカが動いた!新型コロナのワクチンパスポート本格導入レポ東京五輪で注目!日本にあってアメリカにない意外なものとは?