自宅で過ごす時間が増え、毎日の料理が楽しみに。レパートリーや手間を増やさなくとも、手持ちの器の意外な活用や盛りつけ方で食卓をマンネリから守り、すてきなおうちごはんを楽しめるコツを、おもてなし上手で知られる編集者の一田憲子さんに教えてもらいました。

枝豆とビール
いつものおかずもおしゃれに見せる器使い
すべての画像を見る(全6枚)

一田憲子さんに教わる器使い。いつものおかずもおしゃれに見せる

「面倒くさがりで、仕事大好き人間なのに、私は毎日よくご飯をつくっているよなあ」と自分でも不思議になるという一田憲子さん。
つくるのはいたって普通のおかずで、レパートリーも多くないという一田さんですが、だからこそ毎日夫と二人で食べる「うちでごはん」をすてきに楽しくするために、日々さまざまな工夫をしているそう。

そんな一田さんに、ことさら手のかかるレシピや高級な食器でなくてもセンスのいい食卓になる、普段づかいの器使い&盛りつけ方を教わりました。

●脇役だと思っていた煮物やあえものを特大サイズの器に

あえもの

小さな器にチマッと盛るもので、地味な料理代表だと思いがちな煮物やあえもの。一田さんは、だからこそ「『本当にこんな大きさ必要?』というぐらいの大皿に盛りつけるのが、おいしそうにみえるコツ」だといいます。

「夕食の主菜は肉か魚でなくてはいけない、という思い込みを捨てて、今までは脇役だと思っていた煮物やあえ物をデーンと大皿に盛りつけてみてください。とびきりおいしそうにみえますよ。大きな器の中にちんまり煮物を盛り付けると、料理のまわりに大きな余白が残る。この余白が、なんでもないおかずにおいしそうに見える魔法をかけてくれるんです」

●さえないおかずはトレーやお盆の「枠」にまとめて

疲れた時はゆでただけの枝豆やスーパーで買ってきたお総菜、冷蔵庫に余っている豆腐など、簡単なおかずですませたいもの。手間を短縮したからこそ、料理をおいしく盛りつけてテンションをあげたいものですが…。

「さえないおかずは、トレーやお盆の『枠』の中におさめて盛りつけることで、見た目をランクアップ。時短おかずでのおうち飲みの時間が、極上のハッピーアワーに変身します。

グラスに豆腐

「冷蔵庫の残り物などは、いつも使っているグラスを使って盛りつけるのもおすすめ。中身が透けて見えるので、素材のもつ色や美しさも一緒に味わうことができますよ。深さを生かして、お皿に盛るのとは一味違う表情を引き出してください」

●揚げ物は揚げ物オンリーで盛らずに名脇役とセットにして

揚げ物

「揚げ物は、揚げ物だけで盛りつけると、器の上が全部茶色になってしまい、ちょっとワイルドな印象に。その印象をやわらげるには、塩やしょうゆ、レモンなどの名わき役と一緒に盛りつけてみてください。しょうゆと練りがらしを入れた小皿を揚げ物と同じトレーにセットしたり、サラダと一緒にくし形にカットしたレモンを添えたり…別の小皿に用意するよりも、揚げ物を盛っている器やトレーと一緒に盛りつけるほうが、おしゃれ度がアップしますよ」

揚げたてのおいしさを失わせないために、風通しのいいザルや、肌目が呼吸をしている木の器に盛るのもおすすめだそう。

●簡単お菓子はおかず用の器に1種類だけ盛ると愛らしく

器にお菓子

自宅にお客さまが来る予定だけど、デパートなどにお菓子を買いに行く時間がない! そんなピンチのときは「スーパーで買えるお気に入りのお菓子を活用すればOK」という一田さん。

「買ってきたお菓子を、いつものおかず用の器に盛りつけると、愛らしくみえますよ。ただし、あれこれいろんな種類のお菓子を一緒に盛ってしまうと、『駄菓子風』に見えてしまうので、1枚の器に1種類だけにするように。フタつきの器やマグカップなど、普段は別のことに使っているお皿で遊び心を出してみるのも◎」

●セイロ料理は皿に移さずそのまま食卓に運んで

セイロにブロッコリー

「セイロは調理道具でありながら、食卓でも料理のおいしそうな見た目をサポートしてくれる、頼もしい相棒。そのまま食卓に運べば、湯気と一緒に臨場感あふれるおいしさを楽しめます。それに、ブロッコリーなどの野菜は、ゆでるよりもミニサイズのセイロで蒸した方がみずっぽくならず、おいしく仕上がるんですよ」

一田さんが愛用しているセイロは、横浜中華街の「照宝」で買ったもの。もう10年近く使用しているそうです。

おおざっぱで面倒くさがりながら「暮らすことが大好き」と快適に暮らすアイデアを次々と生み出してきた一田さんの最新刊『

うちでごはん いつもの「おうちご飯」をちょっとよく見せる小さな工夫

』(扶桑社刊)では、本記事で紹介した以外にも、がんばらずに「あ~、おいしい!」と毎日のごはんを幸せに食べられる簡単レシピ・うつわ・盛りつけ・道具の選び方などが満載です。