いつか必ず訪れる家族との別れ。それは場合によって、あまりに突然なことも…。
そんなときに悩ましいのがお葬式にかかる費用です。家族が亡くなった直後はなにかとせわしなく、葬儀社をリサーチする時間はとれないもの。十分な準備ができぬまま、葬儀社や葬式のプランを迅速に決めなければならないため、提案された金額に対して首を縦に振るしかない、ということもあり得ます。
実際のところ、葬式にかかる費用とは一般的にどのくらいなのでしょうか? 葬式にまつわるお金について専門家に聞いてみました。教えてくれたのは、これまで1000件以上の葬儀を担当してきたという現役の葬儀社社員で、「考える葬儀屋さんのブログ」の管理人でもある赤城啓昭さんです。事前に知っておくと、なにかと安心できますよ。
葬儀社社員が語る「全国平均の葬儀費用は188万円9000円」の信ぴょう性とは?
「全国平均の葬儀費用は188万円9000円」の信ぴょう性とは?
身内の死は痛ましいものですが、お葬式にまつわるお金の問題は気になるものです。葬儀費用はどのくらい発生するものなのでしょうか。葬儀費用の出典元としてよく使われるのが、一般財団法人日本消費者協会が発表する「葬儀についてのアンケート調査」です。
同協会では3~4年に一度、調査を行い、葬儀業界に関する統計を発表しています。みなさんも2014年に発表された「全国平均の葬儀費用は188万円9000円である」という報道を目にしたことがあるかもしれません。
この金額に対して「お葬式のために189万円なんて大金、とても貯められない!」と不安を感じている人もきっといると思います。しかし、じつはこの数字は考えもの。実際の葬儀費用に比べて明らかに高すぎるのです。
間違った数字が出てきてしまう2つ目のわけ
なぜこんなに上振れした間違った数字が出てきてしまうのでしょうか。その原因は大きく分けて2つあります。
まず1つはサンプリング方法に問題があるということです。普通、葬儀費用に関するアンケートであれば、実際に葬儀費用を支払った人に聞いていると思いますが、じつは違うのです。アンケートでは「ご家族に葬儀があった人も回答者に含まれる」というカラクリが。つまり「葬儀費用は◯◯◯万円かかった」と言っていたという伝聞の情報も有効としているのです。
2つ目はサンプル数が少なすぎることが挙げられます。2016年は日本全国で約130万人が亡くなりました。当然、ほぼ同数のお葬式が行われているわけですが、この日本消費者協会のアンケートの回答者は全国で300~400人程度にすぎません。
ちなみに2003年のアンケートのときは、近畿地方の「葬儀一式費用(葬儀屋への支払い)」の回答者はたったの1人でした。こんな少ないサンプル数の統計が信じられるでしょうか。
葬儀社が公表しているレポートや自分の調査結果を通じて、私が考えるに、葬儀屋さんの受け取り分とお寺へのお布施をふくめても葬儀費用の平均値が総額150万円を超えることはありません。
報道された平均費用を鵜呑みにせずに、身の丈に合ったプランと金額になるように注意を払いましょう。