ペットと快適に暮らす家をつくるためには工夫が必要です。たとえば、犬が歩くと、滑ってしまうような床。知らずしらずに、ペットの足に負担をかけてしまうというケースもあるのです。生き物の習性や行動パターン、健康などに配慮したプランや建材について、知っておきましょう。犬&ネコと暮らす住まいを長年にわたって手がけてきた建築家の横関和也さんと仲條雪さんに、手掛けた事例を交えながら、押さえておきたいポイントを解説してもらいました。
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POINT 1 危ないNGエリアをしっかり分ける
火を使い、食べ物があるキッチンや、浴槽でおぼれる危険性のある浴室など、家の中にはペットを遠ざけたい場所があります。原則はしつけをして「危ないところに行かせない」こと。キッチンで犬の場合は中に入れないようゲートを設けたり、ネコの場合はコンロにカバーを使用したり、チャイルドロックをかけたりという方法も。
ネコは高い位置からコンロに飛び降りる可能性があるので、高所に足がかりになる場所をつくらないように注意しましょう。浴室ではドアを施錠し、浴槽にフタをするのを忘れずに。
こちらの例は、キッチンに設けた犬用の侵入防止ゲート。施錠できる引き戸タイプなので、内部に収めた食品をかじられる心配はありません。使わないときはキッチン側に引き込めて便利です(右にスライドさせる)。
POINT 2 玄関回りには飛び出し防止の工夫を
玄関からペットの飛び出しを防ぐには、犬・ネコどちらの場合も玄関の内側にカギつきの格子戸などを設けるのが一般的。ただし、ネコの場合は来客時に隙をついて外に出てしまうことも。
そこで、雪国などで見られる「風除室」を設ける方法もあります。玄関ドアと戸外の間に施錠できるクッションスペースを設けて2段構えにするわけです。
そのほか玄関ドアの外に塀で囲んだ前庭を設け、門を設置するケースも。来客時は門を閉めてから玄関ドアを開ければ、ネコが外に飛び出しても前庭で保護できるので安心。
犬とネコを飼っている家の例。玄関ドアの外側の前庭に高い塀を巡らせているので、犬はもちろん、ネコもよじ上って外には出られません。
こちらのように、犬の散歩帰りに使う足洗い場がさらにあると便利です。
POINT 3 暑さに弱いので快適に過ごせる居場所をつくる
体毛に覆われたペット、とくに犬は暑さに極端に弱いので、夏場は留守中を含めて常時エアコンを使ったほうがよいでしょう。
犬を戸外で遊ばせる場合、直射日光を避ける日陰をつくって居場所を選べるようにするといいですね。水を怖がらなければ水遊びができるプールをつくる方法も。
意外な落とし穴となるのが、冬場の床暖房。寒かろうと飼い主が床暖房をつけたまま外出し、帰宅時に犬が脱水症状を起こしていたケースも。床暖房なしのエリアをつくり、犬が自分の判断でエリアを使い分けられるようにするといいでしょう。
中庭を囲む建物の一部を通路にして、犬のために日陰の居場所をつくったケース。夏の厳しい日差しを避けられるだけでなく、風の通り道になっているので涼しく過ごせます。