50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した長男・うーちゃん(5歳)、里子の長女・ぽんこちゃん(1歳)という家族5人で暮らしています。
今回は、めまぐるしく成長するぽんこちゃんのお話です。
赤ちゃんは卒業?1歳児の成長を見守るパパ
ぽんこちゃん(1歳の里子の女の子)が立て続けに2回、手足口病になりました。手足口病は39度や40度の高熱が数日続き、熱が引いてくると手足や口の周りなどに赤い発疹が出ます。
発疹自体はそれほど痛くもかゆくもないようなのですが、けっこうなどぎついブツブツなので見ているこっちは心配になります。
1回目はそんな感じでオロオロしたのですが、2回目ともなると慣れてきて、発疹が出たらもう安心と思えました。
この時期の幼児は、熱を出すたびにアップグレードしていくといいます。まるでパソコンのOSの更新のようですが、確かにぽんこちゃんもちょっと様子が変わりました。
熱を出しているときには喉にも口内炎ができていて、なにをあげてもいらないと言い、あの食いしん坊がどうしたかことかと本当に心配でした。
どんなにお腹がいっぱいでも食べ物を見つけると、とりあえず口いっぱいにほおばり飲み込めないと出す、というような悪食ぶりでしたが、なんだか食がまともになったというか、めちゃくちゃな食べ方をしなくなり、食べたいものだけ食べるようになりました。
お肉が苦手だったのが、けっこう食べるようになって、豆腐も口から出していたのが食べるようになりました。豆乳はごくごく飲みます。
納豆もよく食べるので、好き嫌いの基準がよくわかりません。幼児に必要なタンパク質は、おもに大豆で採っています。枝豆もよく食べます。
そして、熱の時期にあまり食べなかったせいで、体がしまってすっきりした体形になりました。ぼくは抱っこしたときのお肉がぽちゃぽちゃしているところが好きだったので、ちょっと残念です。
熱とは関係ないかもしれないですが、お風呂と寝ること、お着替え、歯みがきなどにはっきり「ノー」を言うようになりました。
ぼく「お風呂はいるか?」 ぽんこちゃん「はいんない!」 ぼく「ねんねするか?」 ぽんこちゃん「あだ!」
「あだ」は「いやだ」の意味ですが、「あだっ!」と勢いよく言うので『北斗の拳』のケンシロウが、敵を攻撃するときの声みたいです。
ぼく「歯みがきするよ」 ぽんこちゃん「あだ!」
「ねんねするか?」と言いながら、おしゃぶりをくわえさせようとするときっぱり拒否します。おしゃぶりは大好きなのですが、その後寝かせられるということを予想して嫌がるようになりました。
泣いて涙を流して嫌がっている真っ最中に「じゃあ、パパの部屋で遊ぶか?」と聞くと、ぴたっと泣き止んで「うん」と言ってぼくの部屋に向かって、先陣をきって歩いて行きます。
まだ言葉を話すのはさっぱりですが、意思の疎通がはっきりと確認できます。いったいどこまで理解しているのでしょう? 「あだ」「うん」はいい加減に答えているときはあるけど、受け答えの呼吸やリズムは完璧で大人とやり取りしているみたいです。
ほかにも、スプーンで上手に玄米フレークをすくって食べるようになったり、髪が本当に短くてボーイッシュで困っていたのが、ようやくゴムでしばってあげられるようになったりと、めまぐるしく成長していきます。髪は本当にギリギリで筆みたいです。
あとは、気づいたらおばあちゃんのことを「ばば」と呼んでいたのが「あーちゃん」になっていました。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ
、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ
など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(
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