一般的に、本日8月13日から15日までが“お盆”。帰省して、家族みんなでお墓参りをする方も多いのではないでしょうか。
お盆は、この世へ帰ってくるご先祖さまの霊を家に迎え、供養して、またあの世へ送り返す行事です。

日本の伝統文化に詳しい山本素子さんに、意外と知らないお盆の知識を教えていただきました。

提灯と精霊馬のイラスト
知っておきたい!お盆のトリビア
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提灯を灯すのはなぜ?精霊流しってなにをするの?お盆の豆知識

霊を迎えるのは、8月13日の夕方。道しるべとして、家の前で火をたきます(迎え火)。14日か15日にはお坊さんに来てもらい、お経(棚経)をあげてもらうのが習わしです。

お盆の間は、霊のために「精霊棚」という棚を設けて季節の野菜や果物を供えたり、「霊供膳」というお膳を毎日、供えたりします。そして、15日の夜にはまた、家の前で火をたいて(送り火)、霊を送り出すのです。

お盆は現在、8月13日から15日にかけて行われますが、昔は16日まででした。京都の大文字の送り火が16日の夜に行われるのはそのため。また、東京のように7月にお盆を行うところもあります。

期日だけでなく、お供えの仕方など、お盆の風習は地方によってさまざまですが、先祖の霊を迎え、お供え物をして冥福を祈り、送るという流れは共通。盆踊りも、お盆に帰ってきた霊を慰めるために行うものなのです。

●お盆にはルーツが2つあった!?

お盆は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の略称。お釈迦さまの弟子の目連が、飢えに苦しむ餓鬼道に落ちた亡きお母さんを救うため、7月15日に供養をしたという説話から始まった仏教行事です。聖徳太子の活躍した飛鳥時代に伝わり、聖武天皇の天平5(733)年からは、宮中で毎年7月15日に行われる仏事となりました。

一方、大昔から日本では初秋(現在の8月頃)に、先祖の霊を迎えておまつりする「魂祭(たままつり)」という行事がありました。仏事と日本古来のお祭りが結びついて、先祖の霊を供養する「お盆」の行事となり、広まっていったと言われています。

●迎え火や送り火に燃やす白いものは?

皮をはぎ取った麻の茎で、「おがら」といいます。桜や松を用いるところもあります。

●提灯を灯すのはなぜ?

帰ってくる霊を導くためのあかり。普通は草花などが描かれた提灯ですが、亡くなった人が迎える初めてのお盆のときだけは、真っ白の提灯を用いることになっています。

●霊に供えるお膳(霊供膳・りょうぐぜん)はどうつくる?

霊供膳のイラスト

仏教行事なので、肉や魚はNGの精進料理。だしも鰹節や煮干は使わず昆布だしだけでつくります。おわんの並べ方は宗派によって異なるから要注意。また、浄土真宗では亡くなった人は浄土で仏になるとされているので、お膳は供えません。

●精霊棚(しょうりょうだな)ってなに?

精霊棚のイラスト

お盆の間、霊を迎えるために設ける棚。位牌や仏具を置き、仏花を飾ります。季節の野菜や果物、餓鬼道で苦しんでいる亡者のための食べ物「水の子」や、仏のための「閼伽(あか)水」などを供えます。

●キュウリやナスを飾るのはどういう意味?

「精霊馬(しょうりょううま)」といい、ご先祖さまの乗り物。この世に帰ってくるときはキュウリの馬で早く、冥土に戻るときはナスの牛でゆっくりという意味なのだとされます。霊が馬に乗り、荷物を牛に乗せて往復するという説も。

●精霊流しってなにをするの?

先祖の霊を送るため、船をつくってお供え物や精霊馬などを乗せ、川や海に流します。長崎のように灯籠を流す地方も。ただ、川や海へ流すことは環境問題にもなるので、勝手に行うのはやめた方がいいでしょう。

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