夏はフランス人にとって1年でいちばん楽しみな季節。物価が上昇しても、節約しながら長いバカンスを楽しんでいるようです。フランス人の夫と暮らし、文化についても詳しいエッセイスト・ペレ信子さんが、フランス人のバカンスの過ごし方についてレポートしてくれました。

バカンスは準備から楽しい
バカンスは準備から楽しい
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フランス人のバカンス先でいちばん多いのは「国内」

フランスの海

バカンスという言葉のイメージどおり、やはり青い海と白い砂浜が、フランス人にとっても憧れのバカンスのシーン。ただ、私たちが想像するよりも堅実な方法でそれを実現させているようです。

物価の上昇とインフレ傾向が続いているのはフランスでも同じ。フランス人は旅行全体の予算を減らしても、自分をねぎらうためにバカンスに出かけます。フランスのある旅行会社の調査では、今年「夏休みに家から離れて旅行するフランス人」は全体の61%なのだそう(※)。

バカンス先としていちばん選ばれているのはフランス国内。とくに南仏やフランス南西部が人気のようです。海外では、フランスより物価の安いギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアがバカンス先に選ばれています。最近はモロッコの人気が上がっているのだとか。

※ 参照元:Beur FM「2025 年の休暇:フランス人はこの夏どこへ行くのでしょうか?」より(フランス語のサイト)
https://www.beurfm.net/vacances-2025-ou-iront-les-francais-cet-ete

バカンスはクルマ移動が基本。節約しながらのんびり向かう

即席サンドイッチ

フランス人はかなりの長い距離を自動車で気軽に移動します。たとえば夫の両親や周りのフランス人は、自分たちが住むフランス東部から南仏まで、約600kmの道のりを6時間ほどかけて南下するのは当たり前。西部のブルターニュまで9時間かけて行くことも。

そのようにして電車代を浮かせているほか、ロングライフ牛乳のような長期保存できる食料品や、移動中に食べられるものをあらかじめ用意をして節約しています。土地勘がないと、安くてよいスーパーが見つけにくいためです。

サービスエリアにはレストランやお店もあるのですが割高。そのため、自分の家からパン、ハム、チーズ、トマトなどを保冷バッグに入れて持参し、サービスエリアのピクニックテーブルで即席のサンドイッチをつくって食べます。そして食後のデザートとエスプレッソだけをレストランでいただきます。