10代でアイドルとしてデビューし、現在も幅広い分野で活躍する渡辺満里奈さん。結婚、出産、子育てに奮闘しながら歩み、50代となった今は「更年期」と向き合っています。50代からのリアルな日々をつづったエッセイ本を上梓した渡辺さんに、夫とのけんかの解決法や「不機嫌」との向き合い方についてお話を伺いました。

渡辺満里奈さん
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「不機嫌」を前に出すことは悪いことなのか…?

――先月発売されたエッセイ本『不機嫌ばかりな私たち』(講談社刊)では、更年期によるホルモンバランスの乱れや老いに関することなど、赤裸々にご自身が経験されたことが描かれていますよね。なぜこのテーマで書こうと思ったのでしょうか?

渡辺満里奈さん(以下、渡辺):2019年に「50代からの人生を楽しもう!」を合言葉に野宮真貴さん、松本孝美さんと『大人の女史会』というプロジェクトを立ち上げました。そこで、更年期にまつわるさまざまなことを発信していたところ、「Webで連載しませんか?」と声をかけていただいたのがきっかけです。

書く作業は辛いこともありましたが、文章にすることで「私はなにをモヤモヤしているのか」「どんなことをイヤだと思っているのか」が見えてきて、結果的には自身のいちばんセラピーになった、というかデトックスのような時間になりましたね。

――タイトルの『不機嫌ばかり』というワードがとても印象的ですよね。

渡辺:最近「ご機嫌でいなきゃいけない」みたいな風潮というか、時代の流れみたいなものがありますよね。それ自体は本当にすばらしいし、私も「そうだよね」と思う。でもその一方で、「ご機嫌でいなきゃいけない」みたいな圧も少し感じていて…。

そのなかで、「不機嫌になる私がいけないのかな? いやいや、そうじゃないよね」って思い当たったんです。不機嫌をまき散らすのではなく、「なんで不機嫌になるんだろう?」とその原因と向き合って、どうやって対処していくか。このエッセイではそういうことが書けるといいな、と思いました。

――不機嫌を表に出してはいけないと思っている人も多いかもしれません。

渡辺:日々の生活の中で、「私が我慢すればいい」「私がやればうまく回る」と思ってしまうことって、案外ありますよね。なにか言われて、「それはどうかな」と感じる場面があっても、面倒に感じたり、うまく言い返せなかったり、結局「まあいいか」と流してしまうことも少なくありません。

でも、それってただスルーしているだけですよね。不機嫌になることが嫌われそうだからといってその気持ちを抑え込むのは、心に負担をかけて、少し息苦しい。だから、たまにはそういった感情をぶつけてもいいと思うし、怒ったり、文句を言ったりすることを我慢しなくてもいいのかなと思います。