大の漫画好きとしても知られるTHE ALFEEのリーダー・高見沢俊彦さんが今イチオシの作品を紹介。ここでは、大人女子のリアル青春ストーリー『スルーロマンス』について語ります。

高見沢俊彦さん
THEA LFEEのリーダー・高見沢俊彦さんがイチオシ漫画を紹介!

30代女性のリアルを描く、青春ストーリー

スルーロマンス』冬野梅子/著  講談社刊 全5巻

元・売れない役者の待宵(まちよい)マリと、フードコーディネーターの菅野翠(かんのみどり)。同時期に失恋した32歳の女性2人は、ひょんなことから同居を始める。恋愛や仕事に悩みながらそれでも前を向く、大人女子のリアル青春ストーリー。

スルーロマンス(1) (モーニング KC)

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結婚に挫折し同棲を解消したマリと、失恋し仕事に生きる道を選んだ翠、30代独身女性の社会的立ち位置と特性を見事に描き出しています。2人の性格の違いが日常生活のズレとなり、ちょっとした会話がかけ合い漫才のようでクスッとほのぼのします。

2人は自分の年齢を意識しつつ恋心を芽生えさせたり、理不尽な現実に立ち向かったり、エピソードがリアルなので、読者はこの生きざまに共感しながら自らの生活を振り返るきっかけになるかもしれません。

おもしろいのは、元彼の視点やほかの男性登場人物の視点があることです。思わず個人的にハッとしたり、没入感ありありのコミックでした。

思いどおりにならない人生が、重くならない程度に辛辣に、かつユーモアを織り交ぜて進むので、読みやすいことこのうえないのです。本作は、ただの友情物語ではなく、自己発見や他者理解を、葛藤という荷物を携えて旅する、青春ロードコミックなのでしょう。