ひとりで実家に暮らす年老いた親がいる人も少なくないのではないでしょうか? 親亡きあと、実家が空き家になってしまう場合、空き家の処分には、まず家の中を片付ける必要があります。そのような「実家じまい」をする場合、効率よくスムーズに片付けるためにはどうすればよいのか、夢相続代表で相続実務士の曽根恵子先生に教えてもらいました。

散らかった実家
※画像はイメージです。(画像素材:PIXTA)
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一軒家を片付けるときは業者に頼むと効率的

実家の片付けに際し、ひとりっ子などで実家に関係する親族がいなければ、ひとりで片付けを進められます。そうでない場合はまず、兄弟姉妹などの親族に相談しましょう。

実家が昔から代々住み続けているような家であれば、おじやおばにも連絡しておきます。相続や遺品のトラブルになる可能性もあるので、片付けを始める前に親族にも知らせておくことが大切です。

一軒家の中をすべて片付けるとなると、非常に大変な作業です。自分で片付けると数か月かかることもあります。

そのため、一軒家の家じまいのために荷物を片付け・処分する際は、業者に頼んだほうがいいでしょう。業者に頼めば、ほぼ1日で片付けを終わらせてくれます。お金はかかりますが、時間と手間を大幅に省けます。

とはいえ、業者に頼む前に、必要なものや大切なものを仕分けるなど、ある程度の準備は必要です。自分で片付ける場合、まず自分の部屋から行うといいでしょう。自分の部屋なら捨てていいものもわかりやすいはずです。

また、部屋を片付けているうちに効率的な手順などもわかってきます。

自分で片付けるときは親の意向を尊重する

話し合いをする娘と老親
※画像はイメージです。(画像素材:PIXTA)

片付けで大切なのは、不用品と必要なものを仕分けることです。その際、親が存命中であれば、親の意向を最大限尊重しましょう。

自分にとっては不要なものでも、親にしてみれば大切な思い出の品かもしれません。知らずに捨ててしまい、親を悲しませるようなことがないように意思疎通をとりながらします。

親が存命中に片付ける場合は、相続に必要なものがどこにあるのかを確認し、まとめて保管しておくことも大切です。金融機関の通帳やキャッシュカード、銀行印や実印、有価証券や保険証券、家の契約書、貴金属、遺言書などをチェックしておきましょう。(図表1)

実家の片付け、相続関係で親に確認するもの
図表1:相続関係で親に確認するものチェックリスト

そして、片付ける際は、エリアにわけて片付けると効率的です。キッチンや洗面所、押し入れなど、エリアを絞って集中的に片付けていきます。

また、引き出しの中を片付ける場合は、中のものをいったんすべて出して、そこから仕分けしていくと効率的です。

また、片付けながら、実家の状態も確認していきましょう。

家全体がものが多く、汚くなっていれば、親の生きる意欲の低下や認知症の可能性があります。破損や老朽化しているものがあれば、修理・交換してください。バリアフリー化の見きわめも必須です。