40代で結婚したイラストレーターの曽根愛さん。夫との日常生活でふと感じるおかしみを、漫画とテキストで紹介してもらいます。
今回は普段の生活に欠かせない、曽根さんが最近いたく感動したという、あるツールについて。
普段は身近すぎてその大切さに気がつけないけど…
ドラマやマンガで「今まで恋愛対象だと思っておらず、ふだん憎まれ口ばかり叩いていたのに、相手に恋人ができたりすると、急に好きだったと気づくおさななじみ」というものがちょいちょい登場しますよね。
異性のおさななじみがいない私としては、えっ? そんなすてきな存在がいるの? 軽口を交わす異性がいる? むしろ自慢? と、ひがみ根性満載で見てしまいます。当たり前すぎてその人の大切さに気づかないってことなんでしょうけど…。
すべての画像を見る(全2枚)私にとって「当たり前すぎて大切さに気づかない」、そんな存在はずばり「取っ手」!
漫画を描いているときに夫から「バケツの持ち方を知らない人なんているの?」という疑問の声が上がりましたが、バケツの持ち方は知っています。
小学生のお掃除の時間に、蛇口から水を入れて、取っ手を持って運んだりしていましたから。
問題は「湯船にたまっている水をくみ上げる」という行為に取っ手が必要か? ということです。通常お風呂に入って、お湯を洗面器にいれてかぶる、という動作に慣れてしまっているため「お湯をくむ=取っ手をもつ」という図式が成り立たないんですね、頭の中で。
取っ手はもはやないものとして扱われ、洗面器と同じように使ってしまいます。
夫に「バケツの持ち方を知らないちょっとアレな人」として扱われたので、言い訳が長い! もはや文章言い訳のみ!! 夫にはこの10倍くらいの言い訳を聞かせました。
熱い紅茶を飲むときに、マグカップではなく、耐熱グラスに入れて、アチっっとなったりしたときも、取っ手の偉大さに思いを馳せる瞬間です。
皆さんも薄々気づいてると思いますが、今回とくにオチはないんです。とにかく夫に「私は取っ手の大切さと使い方は知ってますよ」と言いたいだけなんです。
しつこい! めんどくさい! そして勝気! 自分でもわかっています。
でも伝えたい! 取っ手は人類の大いなる第一歩だということを…。
【曽根愛】
東京都在住。イラストレーターとして、おもに書籍、雑誌で活躍。コミックエッセイに『着ていく服が見つからない 洋服選び受難女子 応援コミックエッセイ』『実家モヤモヤ女子 応援コミックエッセイ そろそろ実家を離れたい』(ともにKADOKAWAメディアファクトリー)