「フランス人は少ない服でおしゃれ」というイメージが定着していますが、ファストファッションの流行で変化があったそう。フランス生活文化エッセイストのペレ信子さんがフランス人のファッションの変化についてレポートしてくれました。

クローゼット
おしゃれでいることの理由は?
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崩れ始めた「節約のため厳選して10着でおしゃれ」という神話

マネキン

ベストセラーになった、ジェニファー・L・スコット著の『フランス人は10着しか服を持たない』。アメリカ人が大量に服を買いながらおしゃれ迷子になっているのに対し、少ない服でシックな装いの倹約家なフランス人マダムから、服だけでなく暮らし方や人生観まで影響を受けるという内容でした。

フランス人のおしゃれなイメージが世界中に定着したと思うほどの影響力がこの本にありました。

確かにパリに行くと、ほかの都市ではあまりいないような、さりげなく小粋でおしゃれな人がいます。高い服をセットで着ているとか、全身を完璧にコーディネートしているというわけではありません。

ただ全体の雰囲気からその人となりが見られ、目に心地よいおしゃれな人。これがフランス流おしゃれの十八番であるはずでした。

しかし、ファストファッションがフランス人のワードローブの中で徐々に居場所を見つけ始めたのは約15~20年前でしょうか。

ファストファッションの台頭とフランスが守る自分のファッション

衣料店

世界中の人を夢中にさせるパリコレと、そこで発表される次シーズンの流行服たち。高級ブランドの服が気になっても、自分のスタイルに合わせて必要なエッセンスを取り入れるのが、かつての私が知るフランス人でした。

でもファストファッションがブランド物にそっくりな安い服を提供し始めると、学生を中心にそれに飛びつく人も。そして、さらに廉価なウルトラファストファッションがここ数年で出現しました。

大量生産、大量廃棄を繰り返す構造を持つファッション産業について、フランスの下院でファストファッション罰則法案(実店舗のないEC業者のみ対象)が昨年可決されました。ファストファッションの広告は禁止され、極端に低価格の商品には罰金がかかります。

フランス人は環境問題に関心の高い人が多いため、この流れを自然に受け止めたようです。