都市部を中心に加熱する「中学受験」。わが子の将来を考え、中学受験を検討する人も少なくないのではないでしょうか。しかし、中学受験において、「競争適性」の有無が子どもの心身に大きな影響を与える、と教育系インフルエンサーの「東京高校受験主義」こと東田高志さんは語ります。子どもの適性に合わせた受験への向き合い方について、東田さんに詳しく教えてもらいました。
すべての画像を見る(全3枚)大手塾では子ども全員が「序列化」
中学受験のし烈な競争のなかで、子どもが備えるべき大事な要素が「競争適性」です。
東京のある大手塾では、子どもの成績が、クラスのみならず座席順にまで影響を及ぼすシステムを導入しています。テストの結果がよければ前の方に座る、成績がふるわなければ後ろへ。子どもは全員が序列化され、競争が常に子どもたちの日常に影を落とします。
このシステムがもし、“普通の子”が中心の高校受験に導入されたら……? 精神的なプレッシャーで病んでしまう子が続出するでしょう。大人ですら耐えがたいプレッシャーが、10歳、11歳の子どもにのしかかっているのが中学受験の現状なのです。
●競争をゲーム感覚で楽しめる子は中受向き
ところが、競争適性のある子どもたちは、これをまるでゲームのように楽しむことができます。偏差値やクラスが下がっても心が折れることなく、ライバルに追いつこうと闘志を燃やし、勉強への意欲へとつなげます。こういった子にとって、し烈な受験はむしろ「成長のきっかけ」となるでしょう。
偏差値やクラスが上がると、ライバルをしのぐ喜びで自己肯定感が満たされます。スポーツで、敗北をバネにがんばれるタイプの子も同じで、中学受験向きの子どもと言えるでしょう。反対に、いわゆる“普通の子”が現代の中学受験に参加するには、強いプレッシャーに耐えられる競争適性が必要なのです。
「競争適性」の低い子は心身に悪影響がある
競争適性の低い子が中学受験に「参戦」してしまうとどうなるのでしょうか。
「うちの子どもが受験ストレスで嘔吐してしまって」 「子どもが円形脱毛症になってしまいました」 「うちの子はアトピーが悪化して、かきむしって困っています」
これらはすべて、実際の保護者の会話です。さらに、NHKの番組『ニュースウオッチ9』でも、東京の心療内科に、中学受験のストレスで心身に不調が出た小学生の受診が相次いでいるという報道がありました。
軽い気持ちで始めた受験でこんなことになるとは…と後悔する保護者の姿がそこにあったのです。