「おもてなし」という言葉には憧れる一方、実際に自分がすると考えるとおっくうになってしまうことも。「フランスの80代の友人は日常的におもてなしをしています」と話すのは、フランス生活文化エッセイストのペレ信子さん。フランスマダム流のティータイムのおもてなし術をレポートしてくれました。
すべての画像を見る(全5枚)初めてお招きするならおやつ時間。おしゃべりするのが目的
フランスにもリタイヤ後のひとり暮らしの女性は多くいて、暮らしを楽しんでいます。今回は、私の80代の友人の「おもてなし」について紹介したいと思います。
彼女はおもてなしを日常的にさりげなくしています。初めての人、もしくは知り合って間もない人を招くならおやつの時間がおすすめだそう。気負うことなく招くことができ、それでいて個人的な空間に招くことでグッと親近感が増します。
この日は普段、廊下で挨拶したり立ち話する同じマンションの隣人を招くことにしたそうです。1人はパリと二拠点生活をしているのでパリでの新しいお店やスポット情報、もう1人は最近マンションの管理組合の会合に参加したばかりでその話題など、たわいもない話ですが個人的な話をしなくても、プライベートな空間で集まって話も盛り上がったそうです。
人気のパティスリーは買わず、自分でシンプルなタルトを焼く
「立ち話もなんなので、今度どうぞ」と誘ったものの、「おもてなししなきゃ」と、どんどんやりすぎてしまうことはありませんか。そうすると結局最後は疲れてしまって「もうしばらくいいわ」となってしまいがち。そしてそんな疲れは相手に伝わってしまうもの。
なので、彼女は「シンプルに」と言います。話題になっているパティスリーにお菓子を買いに走る代わりに、冷凍パイシートを広げてリンゴを並べ、砂糖をパラパラとまぶして焼いただけのシンプルなタルトをつくるそう。
それに気に入っているお茶と、さっぱりするために炭酸のミネラルウォーターも用意しておきます。招かれた方もデパートで買った有名菓子を持参する、ということはなく、たとえば家にあったクッキーや飴をちょっと持ってきたり、もしくは手ぶらでやってきて「次はうちに来てね」というのも大いに「有り」です。