お元気シニアの代表として、90歳になった現在でも団地でひとり暮らしを続ける多良美智子さん。お金を使うことには慎重な多良さんですが、いまでもたまに新しい服を購入するといいます。ここでは、多良さんの著書「90年、無理をしない生き方」(すばる舎刊)から、おしゃれのこだわりを抜粋してご紹介します。

首元
ブローチもよく着けるという多良さん。「福祉作業所の方制作の、群言堂さんのブローチはカラフルな刺繍が味わい深い。ベストは妹の裂き織りです」
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おしゃれは日々の張り合い。お気に入りのお店をのぞくワクワク感

ファッションは、子どもの頃から興味がありました。学生時代は制服だったけれど、髪型には毎日気合いを入れていました。姉たちがおしゃれだったので、その影響を受けています。

最近になって、仲のいい姪(3番目の姉の娘)に、「おばちゃんが『モデルになりたい』って書いていた紙が、引き出しから出てきたよ」と言われました。若い頃に、そんなふうに思ったことはあったけれど、紙に書いていたなんて…。姉の家に遊びに行ったときに書いたものでしょうか。70年近く昔のことです。

大阪でお勤めしていた頃、心斎橋の高島屋に友達と買い物に行きました。そこでファッションショーをやっており、伊藤絹子さんなど一流モデルさんが5〜6人出演していました。「こんなスタイルのいい人がいるんだ」と衝撃を受け、「私なんておよびじゃないな」とわかったのです。それ以降は「モデルになりたい」などとは言わなくなりました。

先の姪は若い頃アパレルメーカーに勤めており、センスがいいので、私のおしゃれのご意見番。「タートルネックは、きちんと折らずに首元にくしゃっとするのがいい」とか「トップスはパンツにピタッと入れずに、少し引き出してルーズにしたほうがいい」など、今の流行を教えてくれます。

「若い人の言うことは聞いておかないと」と思って、そのとおりにやってみると、本当にちょっとおしゃれになるような気がします。

ストール
紫色のグラデーションがお気に入りのストール。顔周りが明るくな る上に寒さ対策にもなるので、ストールは便利です。

洋服は、今でも時々は新しいものを購入します。近くの大きな駅に、お気に入りの洋服屋さんが2店あります。どちらもデパートの中をブラブラ歩いていて見つけたお店です。

ひとつは、島根県の石見銀山に本店がある「群言堂」さん。着心地のいい素材、優しい色合いがお気に入りです。最近は、ワンピース、スカート、タートルのトップスを買いました。タートルのトップスは色違いで買って2枚もっています。それほど気に入っています。

もうひとつは、「センソユニコ」さん。こちらは左右がアシンメトリーだったり、個性的なデザインの洋服が多く、また違った魅力で気に入っています。

長く着ている洋服や、趣味のリメイク教室で手作りした洋服も大好きですが、今の新しい洋服もいいですね。年齢によって洋服の好みは変わるので、今、似合うものを着たいなと思います。

春夏秋冬、季節ごとの着こなし

春

【春】30年以上着ている、手芸仲間お手製の古布のワンピース。ストールをアクセントに。

夏

【夏】モノトーンのシャツブラウスで涼しげに。肌触りのいい素材で、夏にぴったり。

秋

【秋】デザインが凝っているベストはセンソユニコのよく行くお店で。着るだけでサマになります。

冬

【冬】群言堂のウールのワンピース。温かいです。大ぶりのネックレスをワンポイントに。

多良美智子さんの新刊『90年、無理をしない生き方』(すばる舎刊)は現在発売中。

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