遠く離れたヨーロッパ・スペインでは、普段の生活の中にも日本とは違う驚きがたくさん。50代でスペインに単身留学しているRitaさんは、「海外で暮らすと、現地の人たちの自然な振る舞いに驚かされることがあります。スペインでは感情をまっすぐ表現する姿が日常に溶け込み、思いのままに動きストレートに伝える文化が根づいています」と教えてくれます。今回は日常で見かける「こんなふうに表現してもいいんだ」とRitaさんが心を動かされた光景を写真とともにご紹介します。

スペインの街並み
スペインの街並みでは心温まる光景がたくさん見られます
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電車で多くの人が席を譲り合う

電車内の後継

スペインの電車を利用するようになり、まず最初に感じたのは席を譲る姿がじつに多いことです。年配の人が車両に入ってきた瞬間に、近くにいた数名がすっと立ち上がり、なんのためらいもなく席を譲り合います。「こちらに座って座って!」と当たり前のように微笑む姿は、礼儀でも義務でもなく自然な優しさそのもの。

携帯に集中していた高校生も、ヘッドホンをしていた若者も、家族連れのお母さんも、全員がまず立ち上がります。もしも寝ている振りでもしている若者がいたら周りの人から起こされそうです。この光景、決して特別なことではなく、ただただ当たり前として根づいていることに感動します。

電車内の赤ちゃんを皆であやす

電車内にいた赤ちゃん

混雑した地下鉄にベビーカーを押して入ってきたママ。その瞬間に周囲の人たちがすっとスペースをあけ、男女関わらず皆が頬を緩め、赤ちゃんに向かって笑いかけます。

「何か月?」「どこまで行くの?」と会話は続き、ぐずった泣き声すら音楽のように聞き流す車両。赤ちゃんをあやす優しいまなざしに心がじんわりと温かくなり、私はこのシーンを見かけるたびに、スペインに住めてよかったとしみじみ感じます。

スーツケースを階段で運ぶ人がいたら絶対に手伝う

旅行客のもつスーツケース

私自身、今まで何回かスーツケースを階段で運んだことがありますが、「手伝おうか? 上まで持ってくよ!」と100%声をかけてもらいました。同じ電車から降りた人から、待ち合わせで改札付近に立ち尽くしていた人から、ただ近くでのんびりと新聞を読んでいた人から…こちらからお願いしたわけでもないのに近づいてきてくれて「任せて!」と目配せしてくれます。

だれかの困りごとに気がついたら迷わず手を差し伸べる国民性を見て、過去に見てみぬふりをしてしまっていた自分が恥ずかしくなります。それ依頼私も旅行者や子ども連れの人たちをみかけるたびに、私なりにできることを探すようになりました。