著書『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(KADOKAWA刊)が累計12万部を突破した現役医師で2児の父親でもある安川康介先生。これまで数々の難関試験を突破してきましたが、一体どのように試験や日常の不安に向き合い、乗り越えてきたのでしょうか。今回はその秘密を探るべく、不安との向き合い方や子育てで大切にしていることなど、たっぷりとお話を伺いました。

旅行を楽しむ男性
安川先生のバックパック旅行(※撮影地はマチュピチュ。画像はご本人提供)

『最高の勉強法』の著者に聞いた!不安との向き合い方

医学生時代、3年生の初めに行われた試験では、旅行を楽しみながらもすき間時間で「アクティブリコール」と呼ばれる勉強法で学習し、半数以上が落ちる難関試験を見事に突破したという安川先生。しかし、ほかの医学生が勉強するなかで不安など感じなかったのでしょうか?

「試験も大事ですが、僕はそのときにインドにどうしても行きたかったんですよね。もちろん『落ちるかもしれない、勉強しなきゃいけない』といった不安はありました。だけど、最悪落ちても追試がある。『なんとかなる』という感覚はありましたし、そのときにやりたいことを優先させて旅行しました。

でも、不安や焦りを感じていたからこそ、勉強するときは濃い時間を過ごせたのかもしれない。逆にあまり勉強したくないときは、焦燥感が高まるまで待って、『焦り』を利用することはあります」(安川康介先生、以下同)

とはいえ、大きな試験の前には不安が募り、かえって集中できなくなる人もいるでしょう。安川先生は、不安や焦りなど、自分のネガティブな感情に対処するために「ジャーナリング」という、自分の感情や考えを「書き出す」方法を取り入れています。

たとえば、なにかに悩んでいるときは、D・カーネギーの『道は開ける』(創元社)で、すすめられている以下のステップを書き出すことがあります。

<ジャーナリングの方法>

(1) 悩んでいる事柄を詳しく書き記す。
(2) それについて自分にできることを書き記す。
(3) どうするかを決断する。
(4) その決断を直ちに実行する。

「『ジャーナリング』では、起きた出来事や感情だけを日記として記すのではなく、出来事に対する自分の感情や考え、それに対する自分の理解、取ろうとしている対処法などについて書きます。そのネガティブな感情を1回言語化してみることが大切です」