「年齢とともにたくさん食べられなくなった」というのはよくあること。でももしかしたら、「逆流性食道炎」という病気のサインが隠れているかもしれません。
ここでは「とくに油ものがだめになって、酸っぱいものが込み上げるように」というESSE読者のお悩みに、医師が回答しました。

お腹に手を当てる女性
朝起きたときに胸やけがしたら、逆流性食道炎も疑って
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【お悩み】胃がもたれて以前のように食べられません

胃がもたれて、20~30代の頃のように食べられなくなりました。とくに油ものがだめになって、酸っぱいものが込み上げたり。年齢的なものですか? それともなにかの病気でしょうか?
(えつこさん・42歳)

【医師の回答】症状からすると、年齢的なものより「逆流性食道炎」の可能性が。病院で検査を受けましょう

胸やけや胃もたれのほかに酸っぱいものが込み上げたり、胃液が逆流したり、ゲップが頻繁に出るようならそれは逆流性食道炎かもしれません。

逆流性食道炎はここ数年とても増えている病気で、胃液が食道内に逆流するために不快な症状が起こります。胃には食べ物を消化するために分泌される胃酸から胃を守る粘膜がありますが、食道にはありません。そのため、逆流してきた胃酸によって食道の粘膜が傷つき、炎症が起こるんです。
放っておくと病気が進行して、食道に潰かい瘍ようができたり、まれに食道腺がんになるケースも。

不快な症状が続くようなら、病院を受診しましょう。逆流性食道炎と診断されたら、胃酸の分泌を抑える薬での治療になります。

セルフケアについての漫画

それと同時に、セルフケアも行いましょう。まずは食生活の改善を。逆流性食道炎のおもな原因は、下部食道括約筋の緩みと胃酸分泌の増加、そして食事の欧米化、肥満です。暴飲暴食をすると下部食道括約筋が緩むのですが、肥満の人はその緩み方が大きく、胃の内容物が大量に食道内に逆流してしまうんです。また欧米型の高脂質・高タンパク・高カロリーな食事も下部食道括約筋を緩ませ、胃酸の分泌を増やします。

食生活の改善では、まず、腹八分の食事を心がけて。そして控えたいのは、消化しにくい脂質の多い食べ物や、食道を刺激する香辛料、胃もたれの原因になる甘いもの、食道粘膜を刺激するアルコールや胃を刺激するカフェイン入りの飲み物。積極的にとりたいのは、整腸作用のあるリンゴや牛乳、ヨーグルトに、胃腸を守ってくれるキャベツなどです。

また、食後すぐに横になると逆流しやすくなるので、食後90分は横にならないようにして。もし横になるときは体の左側を下にすると胃の中に胃液をためる場所ができて逆流が起こりにくくなります。

前かがみの姿勢や体を締めつける服装も胃が圧迫されて逆流しやすくなるので気をつけましょう。よい姿勢で横隔膜を鍛えることも、胃にかかる圧力を少なくします。

●こんな症状があったら「逆流性食道炎」かも!

食べすぎたときだけではなく、朝起きたときに胸やけがしたり、空腹時なのに胃もたれしたり。あるいは以下のような症状が頻繁に起きるようなら、この病気の可能性があります。

・胸やけ
 →→胸がやけるような、ヒリヒリした痛みや不快感がある

・胃液の逆流
 →→酸っぱいものが、のどや口の中に込み上げてくる。のどの奥にやけるような不快感がある

・のどのつかえ感
 →→のどの不快感や違和感、のどになにかつまったような感じがある

・胸が痛む
 →→食後や安静時に胸やけやゲップとともに強い胸の痛みがある

・ゲップが出る
 →→食べすぎていないのに、あるいはなにも食べていないのにゲップが出る

・胃がもたれる
 →→「もたれる」「重苦しい」「おなかがはる」などの不快症状がある

これらは「逆流性食道炎」のときによく見られる症状です。ほかの病気が隠れている可能性もあるので、不快な症状が続くようなら、病院を受診して検査を受けましょう。