『ドラえもん』のスネ夫役をはじめ、『鬼滅の刃』の不死川実弥役や『PSYCHO-PASS』狡噛慎也役など、話題作に多数出演し、俳優としても活躍している声優・関智一さんの暮らしのエッセイ。今回は、仕事で訪れた「北海道の思い出」についてつづってもらいました。

仕事で北海道を訪れた関さん
仕事で北海道を訪れた関さん
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​仕事で訪れたごほうび「北海道」!

主宰する劇団『ヘロヘロQカムパニー』の30周年記念公演『悪魔の手毬唄』を終え、疲弊した身も心も大分癒えて、日々の生活を取り戻しつつある今。

以前からお世話になっている専門学校の特別講師として福岡、沖縄、北海道と立て続けに3か所を渡り歩いた。その際、沖縄で一泊、北海道で一泊させて頂き、仕事でありながらも、ちょっとした旅行気分を味わうことができた。

しばらく旅行に出掛けるタイミングをつくることができなかった自分にとってはこれ以上ないごほうびだ。自由になる時間は限られているものの、このチャンスを生かさない手はない。

とくに北海道は6、7年ぶり。大好きな食べ物の多い、お気に入りの地だ。なかでも、ホタテ、カニ、そしてなによりもウニ! しかもウニの最盛期は6月から8月辺りと聞く。そう、夏はウニの季節なのだ。無類のウニ好きとしては、頂かないわけにはいかない。

私はまず、到着してその足で二条市場に向かった。札幌駅から程近く、南二条通に面したアクセスのいい市場だ。

二十数年前に一度訪れて以来、久しぶりの二条市場。活気があり、所狭しと魚介が並ぶ。カニ、ウニ、ホッケ、ホタテ、エビ…枚挙にいとまがない。しかし、店先を飾るのは魚介に限らない。フルーツも多い。とくにメロン。どれも大玉でおいしそうである。

母への土産は「カニ」。どれにしようか迷っていると…

カニ

さて、まずは東京の母にカニを送ろうと、さまざまな種類のカニに目を泳がせていると、渋い声の、恐らくベテランの売り手の方が声を掛けてくれた。

「どのカニを探してるの?」
「よく分からずなんとなく見てました」

私がそう答えると「これがタラバ、これがズワイ、こっちが花咲」と教えてくれた。

「なるほど…」
「どれが好みか食べ比べてみるかい?」

そう言って、試食用のタラバガニの足をポキリ。ハサミで食べやすく切れ目を入れて、私の手のひらへ。試食といっても手のひら一杯になる程の大きな身を惜しげもなく渡された。早速手掴みでひと口。身がしっかりしていて甘くておいしい。

余韻に浸る間もなく矢継ぎ早にもうひとつのカニ身が手のひらに置かれた。

「これがズワイね」、すかさずもう一個。「こっちは花咲」、瞬く間に手のひらがカニの盛り合わせになった。なんたるぜいたく。

私は、ズワイに花咲と次々に口に運び、食べ比べてゆく。むむむ、どれもうまい。しかしながら、どれも違う…。種類が違うのだから当たり前と言えば当たり前だが、こうして連続して味わうと、その違いが改めて際立つ。

タラバは身が大きく食べ応えあり、ズワイは上品な甘さを感じ、花咲はしっとりしたやわらかな身に濃厚なうま味。

花咲ガニ

しばし迷った末、今回は「花咲ガニ、キミに決めた!」

コンブやらイクラやらホタテやらを追加して、母へのお土産は一段落。…当然自分用の花咲ガニもゲットだぜ!