健康長寿県として知られる信州の食文化には、体を健やかに保つ知恵があります。それらを取り入れたレシピを広く紹介している料理研究家の横山タカ子さんに、家庭でも簡単にできる、木の実を使った料理を教えてもらいました。ここでは、『四季を味わう 私の「木の実」料理』(扶桑社刊)より、「梅のスパイス酢」を紹介します。

信州の梅の花
信州の長い冬が終わると、梅の枝々からつぼみがはじけて、一気に開花します
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美しく、おいしく、健康への祈りまで受け止めてくれる梅の保存食

「それを見るたびに、春がきたことを喜び、同時に、葉より先に花を咲かせる梅の生命力に目を見張り感嘆します」と横山さん。梅の花が咲く頃から、横山さんの心は梅仕事の準備へと向かうといいます。

梅仕事

梅は、疲労回復に役立つクエン酸を含むほか、殺菌力や腐敗防止などの作用から「梅は三毒を断つ」とのことわざもあるほど。日本では古くから、健康食として重宝されてきました。

美しく、おいしく、健康への祈りまで受け止めてくれる梅の保存食づくりを、40年以上、毎年欠かさず、繰り返していている横山さん。それでもまだ「新しい味を生み出せるはず」との探求心は尽きません。

小梅の7%塩漬け
小梅だからこそできる塩分控えめの塩漬け「小梅の7%塩漬け」

甘くてもよし、すっぱくてもよし。未熟な実も、完熟も、大梅も小梅もそれぞれに生かす道がある。実を食べるだけでなく、混ぜ込めば酸味で味を引き締める調味料にも。本当に、梅の懐の深さはほかにないものです。

新しい味を探求し続け生まれた「梅のスパイス酢」レシピ

梅の保存食
梅の保存食のなかでも、近年のお気に入りはピクルス(手前左)だそう

仕事柄、梅がたくさん集まってくるので、せっかくならば違う味を、と新しい味を探求し続け生まれた梅の保存食たち。「さて、今年はどんな味を試してみましょうか…」と考える時間もまた、横山さんの喜びです。

●梅のスパイス酢

梅のスパイス酢

スパイス好きにはたまらない、くせになるドリンク。梅と酢、さらにスパイスの力で、疲労回復や整腸作用など健康効果にも期待が。冷やして炭酸割りもおすすめです。

【材料(つくりやすい分量)】

  • 梅 2.5kg
  • 酢 1.8L
  • 砂糖(あれば、てんさい糖またはきび砂糖) 1.5kg
  • クローブ 小さじ3
  • シナモンスティック 3本

【つくり方】

梅はよく洗ってへたを取り、清潔な容器にきび砂糖と交互になるように入れて上から酢を注ぐ。クローブ、シナモンスティックを加えて漬け込む。

飲みごろ:1か月後から
保存期間:冷蔵庫で約1年

 

※ つくりおきする際は、清潔な保存容器に入れて保存してください。保存状態によっては傷みやすくなることもあるので、保存期間内であっても早めに食べるようにしましょう

 

横山さんの40余年にわたる研究で育まれた、山椒をはじめ、あんず、いちじく、栗、くるみ、りんご、ゆずなど、33種の“木の実”簡単保存レシピと、豊かな展開料理80品を掲載した『四季を味わう 私の「木の実」料理』(扶桑社刊)。旬の果物や、直売所で販売されている、気になる木の実の活用術をまとめた一冊です。

四季を味わう 私の「木の実」料理

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【ワークショップイベントのお知らせ】

6月24日(月)に『四季を味わう 私の「木の実」料理』の出版を記念し、著者・横山タカ子さんによる長野県産の「小梅」を使用した漬け方ワークショップを、東京・「銀座NAGANO」で開催いたします。ぜひ、信州の「木の実」の魅力を体感しにいらしてください。

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