タンパク質は運動をする人だけでなく、すべての人にとって必須の栄養素です。健康的な体づくりにはタンパク質が不可欠で、筋力アップのほかにダイエット効果の期待も。ここでは、立命館大学スポーツ健康科学部教授・藤田 聡先生にタンパク質が原因の不調やチェック項目など教えてもらいました。また、忙しい朝にも簡単にできるレシピを『健康でいたいなら 朝のたんぱく質』(扶桑社刊)より、2つご紹介。

食事中のイラスト
食生活で取り入れたい「タンパク質」
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タンパク質が不足していると、不調の原因にも

関係ないように思える症状の原因が、タンパク質不足ということも…。思い当たる症状がある人は、意識的にとってみましょう。

●肩こり、腰痛

姿勢を維持するための筋肉が減ると、肩こりや腰痛が起こることが。疲労もたまりがちに。

●睡眠のトラブル

「睡眠ホルモン」と呼ばれる物質は、アミノ酸。タンパク質の補給で改善することも。

●風邪をひきやすい

タンパク質不足により、免疫細胞がつくられなくなると、免疫機能が低下することも。

●心の不調

心のバランスに影響する「必須アミノ酸」は、食事からしか得られず、タンパク質摂取不足が影響している可能性も。

●肌や髪のトラブル

体内のタンパク質が不足すると、肌や髪はあと回しになり、体はほかへの供給を優先。結果、肌はうるおいが失われ、髪はパサつきがちに…。

●貧血

血液の素となるのも、タンパク質。血液中の赤血球が少なくなると、「鉄欠乏性貧血」になることも。

必要なタンパク質がとれているかチェックしてみましょう

<見た目チェック>

・ここ数年で体重が落ちた(または増えた)
・体重は変化しないが、体のラインが変わった
・太ももが細くなった
・顔色が悪い
・肌に「ツヤ」や「ハリ」がなくなった
・髪の毛にコシがなくなり、細くなった
・爪がもろくなった

<体調チェック>

・風邪をひきやすくなった
・ダイエットしても、体重が減りにくくなった
・疲れやすい
・めまいがすることがある
・ボーッとする
・イライラしたり、不安な気分になる
・寝つきが悪くなった

<体の機能チェック>

・歩いたり、走るのがおっくうになった
・重いものが持ち上げられない
・階段の上り下りがつらい

●診断結果

・3~5個:タンパク質不足予備軍
・6~9個:タンパク質不足の疑いあり
・10個以上:タンパク質不足。食生活の見直しを

●1日に必要なタンパク質の量は?

下記の当てはまる項目で計算してみてください。

・身体活動レベルが「普通」の人→体重(kg)×0.95g

・運動や筋トレの習慣がある人→体重(kg)×1.62g

・70歳以上のシニア層→体重(kg)×1.03g

タンパク質は朝食でしっかりとることが大切

糖質、脂質と並び、「三大栄養素」のひとつであるタンパク質。筋肉をつくるだけでなく、ダイエットや美肌効果にも最近、注目が集まっています。タンパク質は非常に大切な栄養素ですが、食べ方に工夫が必要。朝食でしっかりとることが重要なのです。

タンパク質は、体内でアミノ酸に分解され、筋肉、臓器、細胞、髪、皮膚などをつくる材料となりますが、夕食から朝食までは食事の間隔が長くなるので、補給されないと、体は筋肉を分解して乗りきろうとするので、筋肉が減少してしまうのです。

タンパク質を上手にとるコツ

食品から摂取できるタンパク質には、肉や魚、卵、乳製品などに含まれる「動物性タンパク質」と、豆や大豆製品、穀物などに含まれる「植物性タンパク質」があります。効率よく体に吸収されるのは、動物性タンパク質。体内で必要量を十分につくり出せない「必須アミノ酸」が、植物性タンパク質に比べて豊富です。

しかし、脂質が多いものもあるので、とりすぎには注意が必要。一方、植物性タンパク質は必須アミノ酸は少なめですが、脂質が少なく、脂肪燃焼を助ける効果が高いので、健康のためには、両方をバランスよくとることが大切です。