働く女性が増え続ける一方で、問題となっているのが夫婦間の家事分担。
パートナーに対して、「自分ばかりやっている」「自発的に動いてくれない」といったストレスを感じている人も多いようです。
ここでは怒りを上手にコントロールする技術である「アンガーマネジメント」の専門家・安藤俊介さんに、家事分担に関する読者の悩みに答えてもらいました。
夫婦間の家事格差のイライラは、点数をつけることで解決しよう
●読者のお悩み:夫が家事を先延ばしにするたびイライラ(29歳・香川県)
私の夫は、平日は仕事で忙しくしているため、休日に家事や育児をお願いするようにしています。しかし「明日やる」など、すぐに口先だけの先延ばしの約束をして、結局やらないことが多々。お願いしていることも、電球の交換や夫のクローゼットの整理など、そんな大したことではないのに…。
毎度怒りたくはないけど、最近は「どうせ今回もやらないんでしょ」という気持ちになって、適当な先延ばしの言葉を聞くだけでイライラしたり、ため息をついたりしてしまいます。
●安藤さんのアドバイス:夫婦間での「程度」のすり合わせがポイント!
まず怒りのメカニズムについてですが、自分が信じている「◯◯すべき」が裏切られたときに、人は怒ります。
たとえば、急いでいてはやくご飯を食べなければいけないときなのに、子どもが食べてくれなくて、腹が立つ…といった具合に、自分の理想と現実のギャップに怒るんです。
今回の悩みを解決するには、夫婦間での「程度」のすり合わせがポイントになります。
先延ばしするというのがどの程度なのか、5分なのか10分なのか、1時間なのか…。「いつまでにどのくらいやるか」というのを、夫婦間ですり合わせしておくのです。
大事なのが、先延ばしの「及第点」について共有しておくこと。明日の朝いちばんならいいのか、夜中でも許せるのか、本当のところをつめておきます。
100点か0点かのどちらかしかないのではなく、「まあこのくらいだったら許せる」というのを、自分でもはっきりさせるのです。
●家事に点数をつけて具体化させる
具体的におすすめの方法は、家事にすべて点数をつけること。
「食事前にテーブルをふく」が1点、「ゴミをまとめる」が2点…といった具合に夫婦で決めておきます。
夫婦の会話はやったやらないの水かけ論になりがちなので、点数にすることで、「程度」を具体化させるのです。
話し合いはおっくうかもしれませんが、1回決めてその後30年穏やかに過ごせるならいいもの。
スムーズに話し合うコツは、「事実と思い込みを分けて話す」こと。「みんなやってる」とか「いつもそう」など、程度を表す言葉は喧嘩の種になってしまいます。お互いに納得がいくように、客観的な数字で話してみるといいのではないでしょうか。
身近な対象ほど、怒りが深くなる傾向があります。とくに家族の悩みは根が深いものです。
「家族だからわかってくれる」という甘えがあるので、それがかなわないと余計に腹がたつもの。しかし家族といっても他人同士なので、価値観は違って当たり前。違いがどの程度なのかをわかって、お互い受け入れることが大事です。