俳優・キャスターとして活躍する谷原章介さんが、花總まりさんと共に出演する舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』が、4月1日(月)より日本青年館ホールで上演されます。作品への意気込みや、作品にちなんでご自身が夫婦間のコミュニケーションで意識していることなど、お話を伺いました。
谷原章介さんインタビュー。「改めて妻への接し方を考えさせられた作品」
すべての画像を見る(全6枚)カナダの同名小説が原作で、風変わりな銀行強盗に「最も思い入れのあるもの」を差し出すよう要求され、“魂の51%”を奪われた被害者たちの身に不思議な出来事が起きるというのが本作のストーリー。谷原さんは、体が縮んでしまうステイシー(花總まりさん)の夫を演じます。妻が縮み始めたことで、これまですれ違いの続いていた夫婦関係に変化が訪れていきます。
原作の小説を読んだ際、「自分の今までの経験が、いろいろなところに出てきそう」と感じたという谷原さん。
「とても比喩や暗喩に富んでいて、読み手自身とリンクさせるようなお話だったので、いつの間にか自分自身の経験だったり、過去や現在のことに結びつけて、自分の内面を掘り下げる作業をしていました。
僕も妻との17年間の結婚生活の中で、ただ平和なだけではなく、いろんなことがあったのですが、読み終わったあとにそういったことが思い返されました。改めて妻への接し方を考えなければいけない気にさせられて、おもしろい本だなと思いました」
無視されたり軽んじられたりすると、そこにいないような気持ちになる
今回谷原さんが演じる夫は、仕事の忙しさを理由に妻のステイシーをないがしろにしてしまう人物。「妻が縮む」というファンタジックな設定の本作ですが、谷原さんは「夫婦のディスコミュニケーションの話」だと考えているそう。
「奥さんが縮んだというのは、僕は一つの比喩だと思ってるんです。作中のステイシーの『本当にあなたは話を聞いてくれない』というセリフもそうですが、いかに夫が妻を理解しようとしていないのかが見て取れます。
暴力や暴言だけではなく、無視とか無理解、静かな拒絶もいきすぎればある種のDV(ドメスティックバイオレンス)だと思うんです。彼自身は自覚がないんですけど、どこかそういう要素がある人なんだと思いました。
人は、無視をされたり、相手から軽んじられたり、理解されていないと感じると、そこにいないような気持ちになったりするじゃないですか。縮んでしまうというのは、その比喩なのかなと思います。
彼の無理解や知ろうとしない姿勢こそが、ステイシーを縮ませてしまったのかもしれないということを、にこやかな笑顔と優しい語り口で観客の皆さんに向けて表現したいですね」