3月から4月は、卒業・入学シーズン。では、海外ではどうなっているのでしょうか? アメリカ・シアトルに住んで20年、子育てに奮闘するライターのNorikoさんが、現地の小学校の卒業式についてレポートしてくれました。
アメリカの小学校卒業式は服装が自由!
すべての画像を見る(全7枚)日本では3月ですが、アメリカでは一般的に夏休み前の5・6月に卒業式を迎えます。ここシアトルの小学校は、5年生が卒業の年。幼稚園年長から同じ小学校に通うため、通算6年間の学校生活です。
卒業式といえば、親も子も服装が気になりますが、想像以上にカジュアル。ドレスやスーツで決めている子はほんの一部で、ほぼ普段着でした。うちの子はポロシャツとチノパンで参加しましたが、それでもかなりきちんとしていたほう。親もTシャツ、サンダル履きのご近所スタイルで、いたってラフです。私もいつもの服で出席しました。学校によっては、小学校でもアメリカの映画やドラマでおなじみ、角帽とガウンを用意するところがあるみたい。
体育館を会場に卒業生入場も、日本のようにきちきちっとはしていません(笑)。バラバラな動きで着席し、なんとなく式が始まります。その違いは、と考えると、やはり「礼」の有無なのではないでしょうか。日本では、起立、礼、着席の号令が事あるごとにかかり、その都度ピリッとして、どこか厳粛な雰囲気が漂います。
卒業証書授与では、ひとりひとり壇上に向かうのは日本と同じですが、受け取った直後、そのまま壇上で受けもちの先生方と並んでの記念撮影タイムが設けられます。なので、保護者は子どもの番になると、さっとステージ前に移動し、堂々とカメラを向けられます。親にとって、これはありがたい。日本ではまず考えられないですね。
エンタメの本場、アメリカらしい演出も
公立を選べば、地元の同じ中学に進む友達がたくさん。したがって、小学校の卒業式は進級式という意味合いが強いです。式辞や答辞のようなものはあるものの、そこまでかしこまったスピーチではなく、時間も短め。来賓祝辞が長々と続くということもありません。
みんなでの合唱もにぎやかでかわいかったのですが、個人的に「アメリカらしい!」と微笑ましく思ったのが、ミュージカルです。在校生による手づくり感いっぱいの飾りを背景に、卒業生のキャストが小学校の思い出を振り返ります。
途中、パンデミックの場面にきり替わると、キャストがさっとマスクを着けて急にゴホゴホ言い始め、会場が笑いに包まれました。こうしてコロナ禍を笑い飛ばせるようになったのだと、当時の親子での苦労を思い、しみじみしてしまいます。
続いてはタレントショー。これは、立候補して選考で受かった子どもたちが、自分たちの才能(タレント)を披露するというショーで、アメリカではよくある学校イベントのひとつです。この日は卒業生が、ピアノ演奏やダンスなどの特技をソロまたはグループで順番に見せてくれました。ミュージカルもそうですが、タレントショーも元気な女子たちが主役。この年齢の男子は、うちの子含め、まだまだシャイなのでしょうね。
最後のスライドショーでは、卒業生全員が写真つきで紹介され、さらにしみじみ。式が終わり、体育館の外に移動すると、テーブルの上にお菓子が用意されていました。ここから、スナック・パーティの始まりです。子どもがおやつに夢中の間、親は歓談。あとは自由解散となります。
もちろん、地域や学校によって全然内容は異なりますが、終始リラックスしたムードであることは変わりません。