ミドル世代の女性の多くが、ちょっとしたきっかけで尿もれを経験しています。なにかと多忙な世代ゆえに、おりものシートなどで応急処置をして放置してしまいがちですが、尿もれしてしまう原因を知って早めに対策をすることで、改善することも期待できるそう。骨盤底筋の筋力・柔軟性の研究や商品開発を行うTENGAヘルスケア研究開発主任で、大学および大学院で神経科学を専攻した経歴を持つ牛場栄之さんに監修いただき、広報担当者・本井はるさんに尿もれ対策法を教えてもらいました。

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ミドル世代の女性は男性と比べて尿もれしやすい

股をおさえる女性
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「年齢を重ねた女性が尿もれをしやすくなってしまうのは、体の構造に起因する」と教えてくれたのは、牛場さん。

骨盤の構造

「ミドル世代の女性は『妊娠・出産の経験や加齢によって骨盤底筋が衰える』『骨盤まわりの筋肉量が男性と比べて少なく、穴も多いので、骨盤底部の構造が不安定』『尿道が男性と比べて短い』などの要因から、とくに尿もれしやすいといえます」(回答:本井はるさん、監修:牛場 栄之 さん 、以下全て)

女性の尿失禁経験率・有症率

「こういったお悩みは、30〜50代の36.3%が経験し、50代では経験率が40%を超えますので、決してめずらしいことではありません。ただ、恥ずかしさから、なかなか周囲や医療機関に相談できず、適切な改善行動に辿り着きづらいという特徴があります」

骨盤底筋の筋力が不足すると腹圧に負けてしまう

加齢によって骨盤底筋が衰えるとなぜ尿もれをしてしまうのでしょうか?

「尿もれのなかにも種類があり、お悩みのくしゃみや咳をした際の尿もれは、『腹圧性尿失禁』と考えられます。
骨盤底筋の筋力が十分なら、腹圧がかかっても、膀胱の出口(尿道)を閉鎖してくれます。しかし、骨盤底筋の筋力が不足・低下していると、腹圧が高まった瞬間、尿道の閉鎖圧が腹圧に負けて、尿がもれてしまうのです」

腹圧は常に一定ではなく動きや姿勢によって変わるものとのこと。腹圧が高まり尿もれしやすいのは、下記のようなタイミングです。

・咳やくしゃみをしたとき
・大笑いや大声を出したとき
・重い荷物を持ったとき
・運動したとき(とくに縄跳びなどの上下運動)
・立ち上がる瞬間

「ほかにも、膀胱が急に収縮することで急に強い尿意を感じて漏らしてしまう『切迫性尿失禁』や、腹圧性と切迫性の両方の症状がある『混合性尿失禁』という分類があります。
3つとも、骨盤底筋との関わりがあります」