作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。年末の大掃除の季節の今、ものを捨てられない人の向き合い方について教えてもらいました。

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第113回「続・捨てられない物展」

暮らしっく
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年末の大掃除真っ只中のみなさんも多いのではないでしょうか。

そんな中で、私は家中をひっくり返して「捨てられない物」を探している。捨てられない物をただ展示するというトリッキーな展示「捨てられない物展」を行ったのは2019年のことだった。

「わー、私も昔これ持ってました」とか、

「捨てなきゃよかったー」という声も多くて、そうなんだ、みんながみんな捨てたい派なわけではなかったんだなあと思った。

●じつは多い「捨てられない派」

あれから4年が経って、あの日の展示がNHKの『阿佐ヶ谷アパートメント』で紹介された。番組内のアンケートでも70%以上の人が捨てられない派だと答えている。私も、4年の間にさらに捨てられない物が増えてしまったよ! ああ、物がどんどん増えていくよ。

捨てられないもの

2019年に出した写真エッセイ集『捨てられない物』も重版をかけることになったので、

「じゃあ、続・捨てられない物展やってみる?」

「よーし、また並べようや!」

ということになって、吉祥寺のギャラリー芝生で展示させてもらうことになった。

●人によって違う物の価値観

私の家は物が多い。

「でもごちゃごちゃに見えないですよ」と言われるのは、プラスチックの物などはセレクトしてないからかもしれない。置いていても自然に部屋に馴染むものを選んでいる。それでも限られたスペースにあれもこれも並べたくなる。レコードもやっぱり増えていく。

本棚の上
よりすぐってもやっぱり雑多な本棚の上

「大丈夫だよ。みうらじゅんさんの家は、こんなもんじゃないよ」

と友人の一人が言った。いつかのテレビ番組で紹介されていたみたい。みうらさんは、コレクターでもあるもの、きっと私のとは次元が違うんだろうなあ。でも、それを聞いてとっても勇気をもらった。

どんなに価値のあるものでも人によってはガラクタだ。同じ家に住む人の価値観が違っていたなら、それはなかなかにキツかっただろうと思う。