今年もESSEonlineをご覧いただき、誠にありがとうございました。 2023年の年間ランキング記事を発表、再掲載します。【2023年読み物部門2位】に輝いたのはこちらの記事でした。

世帯の人数が減ったり、ライフスタイルが変わったりして、より小さな住まいへの住み替えを検討する人も増えています。自身も、老後のための住み替えを実践したファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが痛感したこと、後悔したことを語ります。住み替えを失敗しないための参考にしてみてください。

記事の初出は2023年1月。年齢など内容は執筆時の状況です。

関連記事

50代から知っておきたい年金の受け取り方。夫が死んだら妻はいくら受け取れる?

老後のための引っ越しは65歳までに!思わぬ落とし穴にも注意

シニア2人
住み替えて気づいたこと(※画像はイメージです)
すべての画像を見る(全4枚)

井戸さんは、昨年、35年住んだ家を処分し、夫婦2人のサイズに合わせた住まいに転居。将来を見越した住み替えを経験し、気づいたことや苦労したことがあるといいます。

●売れなくなる前に…築35年の一戸建てを売却

考える女性

「暮らしていたのは『子どもをのびのび育てたい』と、見晴らしのいい高台に建てた一戸建てで、敷地面積は100 坪あまり。日当たりもよく気に入っていましたが、どこに行くにもクルマが必要で、高齢になって免許を返納したあとの暮らしに不安を覚えるようになりました。子どもが独立して家を出ていき、夫と2人暮らしになると、使っていない部屋が増え、傷みも気になるように。駅から遠いこともあり、『今後、わが家は売れるのか?』という心配で首をもたげるようになったのです。家を購入した当初は、なるべく長くこの家に住み続け、配偶者のどちらかが亡くなったら施設に入ろうと考えていましたが、家の老朽化に合わせてリフォームを繰り返すよりは…と、思いきって手放すことに

そこで、不動産業者数社から見積もりを取り、売却と並行して家探しを行うことに。貯金を取り崩さなくていいように賃貸マンション転居を決め、老後資金の計画が破綻しないか、事前にシミュレーションしたそう。

●「何歳まで生きるか」老後資金は緻密に計算を

「夫と私が何歳まで生きるのかを細かく計算しました(笑)。日本人の最多死亡年齢は、男性88歳、女性93歳。健康寿命は男性73歳、女性75歳といわれますから、70代半ば以降、15年から20年は体のどこかに不調を抱えながら生きる可能性があります。
老後の生活費のほか、医療・介護費でそれぞれ1100万~1200万円程度を取りおいたうえで、家を売ったお金で無理なく住み続けられる金額を割り出して転居先を決めました」

転居先に選んだ賃貸マンションは、駅まで徒歩圏内。周辺に医療機関や郵便局もある利便性が決め手でした。