豆は低脂肪・高タンパクで、ビタミンやミネラル、食物繊維などの不足しがちな栄養素もチャージできる優秀な食材ってご存じですか? 豆の魅力をご紹介する2回連載の初回は、テレビや雑誌で大活躍の人気料理家・ワタナベマキさんに、豆を気軽に日々の食卓に取り入れる活用術と、忙しい日にも大助かりの早ウマレシピ2品を教えてもらいました。
豆は野菜と同じ感覚。まとめてゆでおきし、いろんな料理に活用しています
「“豆愛”が強いね、と言われます(笑)。おいしさはもちろん栄養価も高いので、週に2~3回は豆料理をつくります」というワタナベマキさん。
ワタナベさんが実践しているのは、時間があるときに乾燥豆をまとめてゆでて保存しておくこと。
「和風ならみそ汁や炊き込みご飯、ヨーロッパ料理風のサラダや炒めもの、煮込みにすることも多いですね。ゆでた豆があれば朝食にもすぐ使えて腹もちがいいんです」
●乾燥豆をゆでるのは意外と簡単!
まずは、ポイントを押さえて失敗なくゆで上げる、基本をマスターしましょう!
(1)乾燥豆を水で戻す
乾燥豆を水でさっと洗い、豆の4倍程度の水に浸してひと晩おく。皮にシワがなくふっくら膨らめばOK
(2)豆を下ゆでする
浸し水ごと強火にかけ、沸騰したらゆで汁を捨て、新しい水を注いで弱火でゆでる。途中、ゆで汁が少なくなったら水をたし、豆が水面から出ないようにする
(3)ゆで上がりをチェック
指でつまんで軽く力を入れると簡単につぶれ、中心部に白い芯がなければゆで上がり!
【豆別:ゆで時間の目安】
レンズ豆 10分
あずき 30~40分
金時豆 40~50分
虎豆 60分
白花豆・紫花豆 60~70分
大福豆 70分
ひよこ豆 90分
「秋は新豆が出回る時期。ちょっと時間はかかるけど、おうちでゆでた豆のおいしさは格別です。まとめてゆでて保存しておけば、少しずつでも使えるから便利なんです」
●ゆでた豆は冷蔵または冷凍して保存
ゆでた豆は冷蔵でも冷凍でも保存できます。
・冷蔵する場合は、ゆで汁ごと冷蔵保存
ゆで汁に漬けたまま粗熱をとり、汁ごと保存容器に入れ、冷めたら冷蔵庫へ。豆が汁から出ていると変色することがあるので注意して。保存期間は、夏場は2~3日、冬場は3~4日
・冷凍する場合は、ゆで汁をきって冷凍庫へ
汁気をきって冷凍用保存袋に平らに入れ、空気を抜いて袋の口を閉じて冷凍。使うときは必要な分だけを割って取り出し、レンジ解凍または凍ったまま調理を。保存期間は1か月
「ゆで汁には豆のうま味と栄養がしみ出ているので、活用しないともったいない。スープに加えると風味が増しますよ」
ワタナベマキさん考案! 忙しい日にも助かる早ウマレシピ2品
ゆでた豆さえあれば、調理は簡単。そこで、忙しい日にも助かる、パパッと短時間でつくれる早ウマレシピ2品を、ワタナベマキさんに教えてもらいました。
●大福豆と鶏肉のバターレモン煮
レモンの酸味とセロリの香りをきかせた、軽い煮込み料理。レモンの酸で鶏肉が短時間でやわらかくなるんですよ。大福豆から出るとろみがおいしさのポイントです。
★使う豆はコレ!
<大福豆>
その部分まで真っ白な大粒の豆で、「白いんげん豆」とも呼ばれる。マイルドな味わいでいろいろな料理に万能に使える
【材料(4人分)】
- 大福豆(ゆでたもの) 250g(乾燥豆で約120g)
- 鶏モモ肉 2枚(500g)
- 薄力粉 大さじ1
- タマネギ 1個
- セロリ 1/2本
- オリーブオイル 大さじ1
- バター 20g
- セロリの葉 3枚
- ニンニク(つぶす) 1かけ
- 白ワイン 100ml
- レモン汁 大さじ2
- 塩 小さじ1
- 粗びきコショウ(黒)、レモンの皮(すりおろし) 各少し
【つくり方】
(1) 鶏肉は余分な脂を除いて表面の水気をふき、塩少し(分量外)をふる。薄力粉をまんべんなくまぶす。
(2) タマネギは薄切りにする。セロリは筋を取って斜め薄切りにする。
(3) フライパンにオリーブオイル、バターの半量、ニンニクを入れて熱し、バターが溶けたら(1)の鶏肉の皮目を下にして入れ、焼く。
(4) 皮に薄く焼き色がついたら返し、(2)、セロリの葉、大福豆を加え、タマネギとセロリが透き通るまで炒める。
(5) 白ワインを加え、フタをして弱めの中火で8分ほど蒸し煮にする。レモン汁、塩、残りのバターを加え、バターが溶けたらざっと混ぜて火を止め、鶏モモ肉を食べやすい大きさに切って器に盛る。コショウ、レモンの皮をふる。
★ポイント
鶏肉を焼いたら、野菜や大福豆を加えてさっと炒める。あっさり仕上げたいので炒めすぎず、鶏肉も焼き色をつけすぎないように。蒸し煮にした後、水気が多すぎたら少し煮つめて。
●あずきとキノコのアンチョビマリネ
小さなあずきは、マリネのようなあえものにすると味がしみやすく、他の具材ともなじみます。キノコのうま味と歯ざわりに、あずきの香り、わずかなホクッと食感がアクセントに。
★使う豆はコレ!
<あずき>
赤飯、あん、汁粉、和菓子づくりに欠かせない豆。料理との相性もよく、和洋中どんな味つけにも合います。
【材料(4人分)】
- あずき(ゆでたもの) 100g(乾燥豆で約40g)
- シメジ 200g
- エノキダケ、エリンギ 各100g
- アンチョビ 20g
- タマネギ 1/2個
- オリーブオイル 大さじ3
- ニンニク(薄切り) 1かけ
- 赤唐辛子(種を除く) 1/2本
- A[白ワイン大さじ2 白ワインビネガー大さじ2 塩小さじ1/2]
- パセリ(みじん切り)、粗びきコショウ(黒) 各少し
【つくり方】
(1)シメジ、エノキは石づきを落としてほぐす。エリンギは長さを半分に切り、縦に薄切りにする。タマネギは薄切りにする。アンチョビは細かくたたく。
(2)フライパンにオリーブオイル、ニンニク、赤唐辛子、(1)のアンチョビを入れて弱火にかける。香りが立ったら中火にし、残りの(1)を加えてしんなりするまで炒める。あずきを加えてひと混ぜし、Aを加えてフタをして、5分蒸し煮にする。器に盛り、パセリ、コショウをふる。
★ポイント
あずきと調味料を加え、蒸し煮にすると味がしみる。加熱しすぎるとキノコやあずきの食感がそこなわれるので注意して。
●レシピで使った豆を50名にプレゼント!
「50名の方に乾燥豆セット(※小豆、大福豆)をプレゼントします。
応募締め切りは2023年12月15日(金)まで。
問い合わせ先/日本豆類協会 ☎03-6268-8627 https://www.mame.or.jp/