5年ぶりに田代島を再訪問。そこで感じたのは…
すべての画像を見る(全7枚)タッシーと出会ってから5年の月日を経て先日突然「田代島に行きませんか?」という話が持ち上がりました。震災後から田代島の猫たちをボランティアでの診察を続けているドイツ在住の日本人・獣医師クレス先生の田代島訪問に同行するというお誘いです。
いつの日かまた訪れたいとは思っていましたが、なかなかに遠い場所です。仙台から石巻へ。そして石巻からのフェリーは本数が限られています。東京でのスケジュールも立て込んでいたために、直前まで悩みましたが「タッシーに会いたい!」という想いに背中を押され、2度目の田代島訪問が実現となりました。
今回は島に初めて1泊することもあり、じっくりとクレス先生と島を歩いてこようと決めました。当日は天候にも恵まれ、ようやく夏の強い日差しも収まり秋の気配を感じる気持ちのよい風の中、5年ぶりに田代島に到着しました。
●以前にも増して島民の数が減っている…
前回は初めて見るたくさんの猫たちに圧倒され数時間の滞在だったために島の地理的なことも分かりませんでしたが、今回はなんとなく島の全体像も見えてきました。そして以前にも増して島民の数が減っていることが大きな気がかりとなりました。
クレス先生と島を歩いていても、島民とすれ違うことはほとんどありません。それでも子猫の数は多く、元気な集団もあれば猫風邪でつらそうな子もいます。そんな猫たちを見つけては先生が目薬や薬を与えていきます。
島に暮らす人たちが少なくなってしまう原因のひとつには、せっかく島に移り住んでくれた若い世代の家族でも、島には学校がなくなってしまったがために、出ていかざるを得ないという現状があります。
高齢化する島の人たちと猫たちとの暮らしは、さまざまな問題を抱えていることを5年ぶりの島で感じることとなりました。
●人が幸せでなければ猫を幸せにできない
私が一目惚れしたタッシーと出会った場所は「マンガアイランド」と呼ばれる宿泊施設がある場所でしたが、以前はたくさんの猫であふれていた風景は一変していて、建物だけは変わらずその場所にありましたが、猫を見つけることはできませんでした。
皆、生活の場所を変えてしまったようです。その日の夜、私たちは島にある数少ない民宿でクレス先生と猫の幸せを語り合いながら、結局はそれぞれの死生観へと話題は移行していきました。
人が幸せでなければ、猫を幸せにすることはできません。猫の看取りを考えるときには、自分はどう死にたいのか、という問題にたどり着きます。
●“タッシー”がつないでくれた縁を大切に生きたい
今回の旅ではタッシーとの再会はかなわず、外猫で5年を過ごす難しさを目の当たりにしましたが東京に戻り、SNSで田代島を検索していくと、懐かしいタッシーの写真を発見。
私がタッシーと名づけたその猫は、島では「きいちゃん」と呼ばれ愛されていたこと。そして今は虹の橋のたもとで過ごしていることを知ることができました。タッシーがつないでくれた田代島。年明けの寒さの厳しい季節に再び訪れるというクレス先生にまた同行したいなと考えています。